介護とパワハラ。そこにある複雑な人間関係をひも解く

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介護職という仕事が欠かせないものとなっている21世紀の日本。

それは、高齢化社会における需要という意味でもそうですし、成長分野の乏しい日本において成長産業の一つとして経済的な意味でも、不可欠な存在となっています。

しかし、その現場においては、複雑な人間関係とその特殊な仕事の形態の中で、さまざまな問題が起きているのも事実です。

そしてその一つが、いわゆる「パワハラ」なのです。

1、介護におけるパワハラの種類

介護においては、さまざまな人間関係のパワハラが起こっています。

まず介護職においては

  • 「上司から部下」
  • 「介護者から被介護者」
  • 「被介護者から介護者」
  • 「被介護者の家族から介護者」

の大きくわけて4つのパターンが存在します。

また、家庭における介護においても同じようにいくつかの形態があります。

  • 「介護者から被介護者」
  • 「被介護者から介護者」
  • 「介護していない家族から介護している家族」

へのパワハラなど3つです。

まずはこれら個別の事例について考えてみましょう。

 

2、介護職のパワハラ

 2−1、上司から部下

これはある意味、どんな職場でも起こりうることではあります。しかし、介護の特殊な関係性によるものも存在します。それは「上司の経験や価値観が絶対視される」ということ。介護の現場においては、非常に素晴らしい理念であるがゆえ、そこで働く人の大きな足かせになるということがあります。

例えば「利用者の幸せな老後」を想像してみてください。その幸せの概念は人それぞれでしょう。労働者は、上司が決めたそんなあいまいな概念の下で働かされることが多く、また、詳しく明文化されていないルールが現場に混乱をもたらします。

そうなると、もう、上司の経験や理念に基づく絶対命令に頼るしかなくなる事はあきらかです。

結果、現場は硬直し、しかもそれに逆らうことは「利用者の幸福を害する」という認識で上司に認知されるため、どんな過酷な労働も受け入れてしまうことになります。

その先に待つのは、ルールを守れない人間に対する「パワハラ」なのです。

 

2−2、介護者から被介護者

社会的に最も多く問題視されるのがこの介護者から被介護者へのパワハラです。

介護の現場において、多くの場合、介護者と被介護者の間には圧倒的な立場の違いが生まれてしまいがちになります。それは、「自分」と「自分に頼らなければ生きていけない存在」という絶対的な立場の違いです。

これは単に精神的なものだけではなく、被介護者としては、どんなに苦しい状況にあっても介護者の言うことを聞かなければならない。という圧倒的な支配関係に発展することもあるのです。

しかも、介護において、密室に二人きりになるという現実。その、誰にも見えない密室という場所が、介護者による被介護者へのパワハラという最低の出来事を誘発する土壌ともなるのです。

 

2−3、被介護者から介護者

いま、社会のさまざまな場所で問題となっていることと同じ根っこのものがこれです。それは何かといえば「弱者というステータスを得た強者」による、パワハラというものです。

これは日本のみならず、先進的な文化の上にある国で問題になっているものなのですが、弱きものの保護が行き過ぎたせいで、強者が弱者に対して口答えができないという状態が生まれているわけです。

たとえば、被介護者の方がモラルを逸した行為を行った場合も、介護者はそこにうかつに注意をすることができません。行為の内容によっては、かなり強く拒絶しなければいけない状況下でも、やり方によっては非難されるのは介護者の方という場合もあるのです。

このいびつな上限関係によって、被介護者からのパワハラを我慢し続けている介護者は少なくありません。

参照:部下からのハラスメント。逆パワハラの実態とは

 

2−4、被介護者家族から介護者

そういう点でいえば、ある意味この場合も「弱者というステータスを得た強者」からのパワハラといえます。

介護の現場において、弱者である被介護者が受けた必要な処置や注意に対して、被介護者の家族が強く抗議する場合などがそれです。またこの場合には、そこに「企業と顧客」という関係性も生まれていますので、より複雑で厄介になっています。

介護者にとって被介護者の家族とは、ある意味大事なお客さまであることは間違いありません。しかも被介護者の家族の言動の根底にあるのは被介護者への家族愛です。こういった、美しい建前を背景にしたパワハラは本当に厄介で、その解決は並大抵のことで達成できるものではないのです。

参照:実例から学ぶ認知症介護ストレスとその対処方法

  

2−5、介護職におけるパワハラを回避するには

介護職におけるパワハラをゼロにする方法というのは、さすがにないでしょう。しかし、ひとつだけすべてに共通するものがあります。

それは、第三者の目をきちんと働かせるということ。

介護職という職場におけるパワハラの特徴は、その場の狭い人間関係の中で生まれてしまう摩擦が元になっています。上司のやり方にせよ、介護者の理不尽な圧力にせよ、被介護者や家族の行いにしろ、それが公正な第三者の目のある中で行われていれば、ある程度は防げるものなのです。

だいじなことは、介護という密室を作らない。そういうことになるのかもしれません。

  

3、家族による介護のパワハラ

3−1、介護者から被介護者

ある意味、介護職のそれと似通っているといえますが、一つだけ大きな違いがあります。

それは、その相手が親や祖父母という、これまで長きにわたって世話になり、かつ家族愛をもって接してきた相手だということです。しかも、介護という過酷な状況に今の自分がある原因となっているのもまた、その愛すべき家族という現実。

そこにあるのは、かつての楽しかったころの思い出の幻影であったり、これまでの恩に対する思いであったり、変わり果てた家族への失望であったり、それらを総合したストレスや苛立ちであったりと、その想いは複雑です。そして、その苛立ちやストレスの矛先が被介護者に向かった時、そこにはパワハラが生まれます。

もしその家族を愛してなかったら、そこに何の感情も無かったら生まれてこなかったかも知れないパワハラ。

しかも、愛する孫や子どもに対して、そんな孫や子どもに面倒をかけているという自分の立場から、ただ黙ってそれに耐えるしかない被介護者。

同情の一言では片づけられない、事例です。

 

3−2、被介護者から介護者

この家族観だからこそ存在する愛情が原因となるパワハラは、その矛先が逆の場合でもあり得ます。介護とは、これが完璧というものが存在しません。介護を受けるものにとっては、さまざまな不満が介護をする介護者につのっていくものです。

そしてその感情は、苛立ちとともに介護をしてくれている家族に向かうことがあります。ところがこの時、やはり介護をしている人にとって親であり祖父母であった人に対して、そんないらだち紛れの理不尽な言動をいさめることができないという場合があります。

年を取り弱くなった家族に、少しでも安楽な老後を過ごさせてやりたいという想いが、当たり前の注意すらできなくしてしまう。

そこに待つのは、やはりただ耐え続けるだけの、出口のないパワハラの現場なのです。

 

3−3、介護していない家族から介護している家族

これもまた家族ならではの感情が織りなすパワハラです。

というのも、介護という物は、実際に介護をしている人間にしかわからない苦労があり、また介護をしなければ思いもつかない事というのは多いものです。

そんな中、介護をしていない家族の目に、介護をしている家族の被介護者への扱いが悪く見えたらどうなるでしょう。

また、被介護者の身に何か病気やケガがあったとき、もしくは、被介護者から介護をしていない家族へ告げ口のようなものがあった場合、そしてそれが一方的で理不尽なものであった場合。介護をしている家族に対して介護をしていない家族が悪印象を抱くことは、無理からぬことです。

そしてそれが度重なることで、介護をしてくれているという感謝の念をその悪印象が超えてしまうようなことになったら、そこからは、介護していない家族から介護している家族への非難が始まることは目に見えています。

しかもそれはやはり、家族を思う家族愛から生まれるもの。さらに、介護をしている家族が、被介護者に対して申し訳ない気持ちが少しでもあったりした場合、その言われなきパワハラを受けることに対して我慢するという現実は、想像に難くありません。

 

3−4、家族間の介護におけるパワハラを回避するには

これは非常に難しいことですが、方法としては「家族であることを捨てる」ということになります。

それは、その文字だけを見ればかなりひどいことを言っているように思えるかもしれませんが、しかし、そんな綺麗事こそが、介護の現場に理不尽なパワハラを招く原因になっている現実があるのです。家族だからこそ我慢をし、家族だからこそ苛立ちや憎しみが募り、家族だからこそそこに争いが生まれる。

ですので、介護という場面においては、一度、介護をする人とされる人という赤の他人に戻り、冷静で第三者的な対処をする必要があるのです。

もちろんそうはいっても、家族として生きてきた時間や感情を捨てることはできません。

でもだからこそ、家族であるという特別な感情をできるだけ抑えて冷静に対処していくということを、常日頃からしっかりと認識しておく必要があるのです。

 参照:頑張りすぎない介護を目指して!3大介護ストレスチェックシート

4、まとめ

介護におけるパワハラの多くは、職場であれ家庭であれ、そこに人数が少ないことが一つの原因です。

介護は心身ともに負担が大きく、また、特殊な人間関係を作り上げてしまう場合が多いものですので、その人数の少なさがより大きな闇を抱えることになってしまうのです。ですので、介護において心がけることは、その閉ざされた闇に、もっと多くに人間を入れること。企業であるならば、同じく介護を主体とするさまざまな会社とかかわりを持ったり、外部の人間の目の届くところで作業を行ったりなどの工夫が必要でしょう。

また家庭においては、一人で抱え込まないことが大切になります。

参照:一人で抱え込まないためには?介護ストレスから抜け出す8つの相談場所

日常生活をしっかり行う事。自分のことを後回しにして、介護をすることも大事かもしれませんが、あとで大きなしっぺ返しを食らうことになりかねません。それが、病気こころの問題に繋がるのです。

介護は人と人。まずは自分のことをしっかり考えましょう。忙しくて考えられなかった方はこの機会に是非、振り返ってみてください。きっと解決策はあるはずです。あなたの悩みが解決することを願っています。

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