慢性的な介護ストレスが引き起こす体の不調とその対策

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介護ストレス

「介護していて全く笑わなくなりました。」

「これ以上続けていると私の身がもたないと感じました。」

 

このように、介護ストレスで悩まれている方は沢山いらっしゃいます。

 

「最初は親の恩返しと思って張り切って介護を始めました。しかし、介護を続けているうちに心が乾いていき、だんだん無気力になっていくのが自分でもわかりました。」

 

「笑うこともなくなった・・・ただ、機械的に世話をしているだけ。」

 

介護を始めてから3年目までは自分を叱咤激励し

「つらいのは分かっていたはず」

「親にはもっと迷惑をかけてきた」

「私が見ないでほかに誰がみるのか」という気持ちで前向きに介護をしていたところ、それが4年、5年、6年・・・と続いていくと最初の前向きな気持ちはなくなってしまい、親にイライラし、「自分の人生は親の介護の為だけにあるのか?」と思うようになってしまいます。

同じように介護の事で悩んでいる方は世の中にたくさんいらっしゃいます。

ぜひ記事を読み進めて下さい。きっとあなたのヒントになることが書かれているかもしれません。

1.ストレスの原因と介護の実態

この章では、様々な調査による介護の実態についてご紹介します。

1-1.子による介護

内閣府の「平成27年版高齢社会白書」によると、主な介護者(介護をする人)の6割以上は同居している家族で、一番多いのが配偶者の26.2パーセント、次いで子が21.8パーセント、子の配偶者が11.2パーセントとなっています。この配偶者も「義理」ではあるものの息子・娘ですから、30パーセント以上の高齢者が「子による介護」を受けていると言えます。

平成27年版高齢社会白書 高齢者の介護

高齢者は増える一方で、「子による介護」の割合は減ることはありません。そうなると、働き盛りの世代が身を粉にして親の介護をしないといけないという状況は益々増えていきそうです。

1-2.憎しみを感じる

身近な人を介護している人の実態を調べた日本労働組合総連合会(連合)の報告によると、約8割の人が介護に対してストレスを感じていると回答、約3人に1人は「憎しみを感じている」と答えています。

要介護者を介護する人の意識と実態に関する調査より

 

いくら家族といえども介護を続けていくうちにストレスがかかり、さらに憎しみに変わってしまうこともあるようです。

それだけ自宅での介護が大変であるということを示しています。

1-3.介護者の自殺、虐待

警察庁のデータによると、平成25年の自殺者のうち「介護・看病疲れ」が理由のものは268件で、60歳代が51件、70歳代が64件、80歳代が43件となっており、介護という重荷が当事者の心を相当蝕んでいることが分かります。

さらに、近年では虐待や殺人の動機で「介護、看病疲れ」が4~5%を占めていることがわかっております。

この数値は近年増加しており、今後もますます割合が増えてくるのではないかと予想されています。

2.介護者の心理とは

介護を続けていると様々な事件が起こります。また、介護をしている方の気持ちの変化も様々です。ここでは、代表的な介護者心理を4つ後紹介いたします。

2-1.介護者の心理(1)親孝行という優しさ

「親には散々迷惑をかけてきた」

「生きているうちに親孝行しなければ」

親の最後を意識するようになり、親孝行を意識することは人間として当然の心理です。

血肉の争いをした親子でも最後は涙を流して別れを惜しむことも珍しくありません。

家庭内介護のきっかけもつきつめれば親孝行という恩返しが土台となっているようです。

 

さらに、介護が始まると「今まで行ったことないところに連れていきたい」「思い出を作ってあげたい」など親を喜ばせたいという気持ちが強く出る方もいらっしゃるようです。

しかし、この優しさは介護年数を重ねると憎しみに変わりやすいという現状もあります。

ですから、やはり最初から飛ばしすぎるのではなく長い目で見ていくというスタンスも必要でしょう。

2-2.介護者の心理(2)周囲からの白い目でみられる不安感

日本では介護というと、生活面での不便を手助けするために年寄りのお世話をする、という根強いイメージがあります。年老いた両親などが要介護状態になったときは、できるだけ家族が行うべきだ、と考えている人が比較的多いようです。

このような考えから、

「自分で介護しないと近所の人から白い目で見られるのでは・・」

「施設に入れるのを近所の人が良く思っていないのでは・・」

「近所の人が母の様子を見に来る。」

など考えるようになり、ますます介護サービスを受けられない心理状態になり、自分で全部何とかしないといけないと間違った心理状態に陥ってしまう方も多いようです。

2-3.介護者の心理(3)介護を受ける方の「早く死にたい」への裏切られた感

「早く死にたい」

せっかくの身を粉にして親の介護をしているのに、このような自殺をにおわせる言葉が発せられると胸に深く突き刺さり介護へのモチベーションが下がってしまいます。

 

こんなに頑張っているのに・・・

なんで私の気持ちを分かってくれないの・・・

 

と裏切られたような感覚に陥り強いショックとストレス感じてしまいます。

 

介護を受けている親の立場からしてみると、自分のかわいい娘が寝る時間を削り、自分の楽しみや仕事を犠牲にしてまで介護をしてくれているので「申し訳ない」という心理が働いているとも考えられています。

 

しかし、介護で手一杯、長期にわたり介護ストレスを受けていると脳は思考停止状態になり、発せられた言葉をそのまま悪い方向に受け取ってしまい、裏切られた感覚がより一層増してしまいます。

2-4.介護者の心理(4)「虚しさ」からくる介護への虚無感

親の介護は大切な介護の為に行う営みですが、介護者は自分の時間を犠牲にしていることは間違いありません。

友人や職場の人などとのつながりも薄れてしまうため、人とのコミュニケーションは損なわれがちです。気ままに出かけたり、自分ひとりで何かを楽しんだりする「自由な時間」は激減するのが一般的です。

ところが、多くの介護者は人生を捧げた対価としてほとんど何も得ることはできません。

どれほど頑張って完璧に介護をしたとしても、親は徐々におとろえ、最後は悲しい別れが待っているからです。介護者は遅かれ早かれ大きな虚無感を抱えることになってしまいます。

介護ストレスの最大の原因はこの「虚しさ」にあるとも言えるでしょう。

 

介護者の心理としてこのような「虚無感に襲われる可能性がある!と言うことを知っているだけでずいぶん心構えができるのではないでしょうか?

また、この虚無感を取り払うことができれば介護に対するモチベーションを維持することも可能になるでしょう。

3.介護ストレスが引き起こす体の不調とは?

2章で介護者の心理をご理解いただけたかと思います。さまざまな心理が複雑に絡んで介護ストレスが生じています。

そしてそのストレスにより様々な体の不調を起こすことも。その中には、思いもよらない症状も含まれています。この章では、ストレスと体の関係をさまざまな角度からひも解いていきます。

3-1.交感神経とストレス

私たちの体は自律神経という神経で体の機能が調整されています。その自律神経はさらに交感神経と副交感神経に分けることができます。

交感神経は車でたとえると「アクセル」の働き、副交感神経は「ブレーキ」の働きをする神経です。ストレスと病気に深いかかわりがあるのが交感神経で、この神経が緊張を続けると車がスピードを出し続けている状態となりますので、当然体にとって無理を強いられている状態であることは明らかです。さらにこの時、体で一番影響を受けのが “心臓”です。

 

・おへそのあたりに手をおいたらドクドクと音がする

・動悸がして体がだるい

などの症状があれば体は緊張の状態が続いている可能性が高いと言えます。

そして、肩こり、頭痛、めまいなどの症状も交感神経のバランスが崩れることにより発症すると考えられておりますので、このような症状が出ている方は注意が必要です。

3-2.長期のストレスにより思考停止

前項3-1でストレスがさまざまな病気の原因になる可能性があることはご説明いたしました。さらに、このストレスが長期にわたり続くと思いもよらない場所に影響が出てきます。それは、私たちの大事な「脳」です。

ストレスにより私たちの体は交感神経が緊張します。これはある意味体の防衛本能でもあります。それが、短い期間ならそれほど問題にはならないのですが、長期にわたるストレスは、交感神経を常に緊張させ、血管を収縮して血液の流れを悪くしてしまい、結果的に脳への血液の量は減少してしまいます。

血管は酸素や栄養分を運んでくれる唯一のパイプラインのようなものです。

ストレスにより、流れが悪くなり脳に酸素や栄養が慢性的に不足してしまうことになります。

3-3.思考停止になると解決策ですら考えられなくなる

寒いので暖房、ご飯を温めるので電子レンジ、髪を乾かすのにドライヤーと電気製品を同時に使うと突然電気が消えてしまった経験があるかと思います。これは、「ブレーカー」が落ちることにより電気が流れなくなってしまったのが原因です。

実は脳も「ブレーカー」が落ちたような状態に陥ることがあります。

 

それは、慢性的な酸素不足や栄養失調が続いた時です。

 

脳は「考える」という高度な機能を持っていますが、それが停止してしまうことになります。当然、根本的な原因は長期にわたるストレスです。

介護ストレスにより脳のブレーカーが落ちてしまい大変な現状を解決しようとする解決策(例えば、役所に相談するなど)ですら考えることができなくなります。

また、介護を受けている方の暴言などを聞き流すこともできなくなってしまいそのまま受け止めてしまって「私が悪い」と考え込んでしまう方もいらっしゃいます。

 

ひどい方になると「介護うつ」と呼ばれている病名を言い渡されることになります。

そうなると薬が処方されて一生飲み続けないといけない・・・なんてことになりかねません。

 

私たちは、「介護うつ」でさえ、「脳のブレーカー」が落ちてしまっている状態だと考えております。

 

・十分な栄養が摂れていない。

・睡眠不足が続いている。

・体が緊張している。

・毎日毎日ストレスを感じている。

・運動不足

このような状態が続けば「介護うつ」になりやすいのは当然です。薬を飲み始める前にまず自分の体に良いとされている“当たり前”のこと実践されてみてはいかがでしょうか?

4.介護ストレスから身を守る対策とは?

介護ストレスで自分が病気にならない為の対策をご紹介いたします。

親を介護するつもりが、自分が病気になってしまった!

これでは本末転倒です。ぜひ、ご活用できる部分があれば参考にされてください。

 

4-1.介護に対する考え方を変える

介護ストレスは考え方ひとつで気持ちが軽くなることもあります。「介護はこうなければならない!」と考えずに、様々な考え方をご紹介いたします。

4―1―1.介護ストレスから身を守る対策(1)頑張りすぎない介護

2章の介護者の心理でご説明いたしましたが、介護を続けているうちに様々な感情に変化していきます。それが、良い方向になり介護のモチベーションが上がればいいのですが、たいていの場合は悪い方向に行きがちです。

 

「親の面倒は全部自分で見ないといけない」

 

と思い詰めるのではなく、行政や民間の企業の力、介護の専門家に任せることも必要な時期も必ずやってきます。

もし、すでに介護される側と介護する側の関係が悪化しているのだとすれば一旦介護から離れる時間を多く作ることが大切だと考えます。

介護は「マラソン」のようなものです。長い時間をかけて歩いたり、人の助けを借りたりして前に進むことが大切です。積極的に手抜きしてもいいのです。

 

4―1-2.介護ストレスから身を守る対策(2)自分の自由時間を持つ

先ほども述べましたが、介護は「マラソン」のようなものです。

平均して4年間、長ければ10年以上介護することになります。

・仕事もできていない

・友達と会う機会もない

・やっていた趣味を諦めた

このように社会からの疎外感や虚無感を感じる方も多くいらっしゃいます。ひどい方になると、外に出られなくなってしまう方もいらっしゃるようです。

周囲の方に助けをもらいながら自分の自由な時間を作るようにしましょう。

「趣味に時間を使う」「読みたかった本を読む」「友達とカフェに行く」。

介護という「マラソン」を走りながら景色を楽しむ余裕も必要でしょう。

4-2.介護ストレスで病気にならない為の対策

介護は介護者が健康でいることも大事です。介護していて本人が病気になってしまったら本末転倒です。当たり前のことを心がけるだけで、ストレスからの病気は減らせると考えております。

ぜひ、参考にされてください。

4―2-1.介護ストレスによる病気の対策方法(1)十分な栄養を摂る

ストレスを慢性的に感じている方は確実に栄養不足です。

例えばビタミンC についてストレスとの関連を見てみましょう。

ストレスを感じると副腎からアドレナリンが分泌されます。これは血糖値を上げ、エネルギーを増やすことでストレスに対抗しようとしているためです。ビタミンC は、このアドレナリンが作られる際に必要な部品として使われます。このことから、ビタミンC の消費量はアドレナリンの分泌量が増えれば増えるほど、つまりストレスが長く続けば続くほど増えることになります。

ビタミンC は人間の体で作ることができませんので、食事から摂取することしかできません。従って、ストレスが長く続けばこのビタミンC を大量に使うことになります。

もし介護ストレスを抱えている時に、十分量のビタミン C をとることができないのであれば、体はストレスに対抗することができなくなります。さらに、ビタミンC はストレス時だけではなく様々な体の重要な機能に関係しておりますのでこれらが不足していると体の不調を訴えても不思議ではありません。

そして私たちの経験上、ビタミンC が不足している場合、他の栄養も不足している可能性が高いですので、相当意識していただかないと十分に栄養をとれていると言うことはできないでしょう。

4―2-2.介護ストレスによる病気の対策方法(2)体の緊張をほぐす

ストレスがかかっている時は、交感神経が緊張した状態であることはおわかりいただけたかと思います。

これは例えば、就職活動の面接を考えていただければイメージがしやすいです。

面接を受けている本人は緊張して手に汗を握り、肩もガチガチに緊張して、呼吸も荒くなっています。

この状態が普段から続いていると頑固な首、肩こりになってしまうのは当然のことです。肩こりを抱えたまま介護をしていると、痛みを伴いますので介護をする事が苦痛となってしまいさらにストレスを感じて悪循環に陥ってしまいます。

ですから、ストレッチをしたり、お風呂にゆっくり入り緊張をほぐしてあげることが重要な対策となります。

4―2-3.介護ストレスによる病気の対策方法(3)適度な運動を心がける

適度な運動は、普段のストレスの生活から開放されて心地よい寝汗をかくことができます。

運動することにより体の緊張はほぐれて、体中に血液が行き渡ることになります。

そうなると体温は上昇し、体の免疫機能が正常に働く事になります。当然ですが免疫機能だけではなく、私たちの大事な臓器である脳も活性化します。これは介護うつの予防にもなります。

また、適度な運動することによって疲れることによる夜もぐっすり眠れるなど様々の効果が期待できます。

毎日介護で家に引きこもっている状況から外に出ることによって、一緒の運動仲間などもできて社会からの孤立感から解消されます。

激しい運動ではなく、有酸素運動などの適度な運動をすることを心がけましょう。

5.まとめ

「親の面倒はわが子がみるもの」

日本にはこのような価値観が古くからありました。その価値観で育った子供たちがやがて大きくなり親を介護している状況は現在も増え続けています。

 

親に介護が必要になった時、「介護してあげたい」と感じるのはごく自然な感情です。

 

・苦痛や不自由なく暮らせるように手伝ってあげたい

・何かあってもすぐに対応できるように見守ってあげたい

・慣れ親しんだ家で最後を迎えてほしい

親族介護のベースにあるのはそんな思いやりや優しさです。

前にもお伝えしましたが、このような優しさではじめた介護で自分自身が病気になってしまったら、本末転倒です。

 

「頑張り過ぎない介護」

 

これを目指して自分のペースでできたら介護ストレスも減ると思います。

 

 

 

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