統計からみた介護離職の現実とは

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介護離職を考える時、その大変さを頭では想像できても、その実態を把握しなければ本当の大変さを理解することはできません。

実際の数字をみて、介護離職というものがいかに社会において大きな問題になっているのか、そして、その介護離職をめぐっていま何が起きているのかをしっかりと把握しておくことが重要です。

今回の記事では介護離職に関する統計についてくわしくご紹介いたします。

1.介護離職者の数

ではまず、介護離職者の数についてみていきましょう。

1-1.仕事と介護の両立をしている人数

平成24年、総務省が発表した「就業構造基本調査」によると、全雇用者で介護をしている人は239万9000人で、そのうち女性は137万2000人で男性が102万7000人に上っていて、全雇用者数に占める割合は女性が5.5%、男性が3.3%になります。

これを多いとみるか少ないとみるかは別として、男女ともに最も多かったのが55~59歳であったことを考えると、状況的に深刻であることは間違いありません。

1-2.介護離職者の数

同調査によると、家族の介護のために離職した人数は約10万人。

しかもこれは総数ではなく、調査のあった1年間で離職した人の数ですから、「毎年」この数が離職しているということになります。

総務省の労働力調査によると、60歳で定年退職者と推定される人数が年間40万人ほどですから、その25%に当たる人たちが介護離職をしているという計算になるのです。

しかもその約80%に当たる8万1200人は女性というのは興味深い結果です。

1-3.介護離職者の推移

では介護離職者の数は年々増加しているのかというと、内閣府の平成28年度高齢者白書によると、介護離職者の数は「微増」にとどまっているようです。

各年年跨ぎの10~9月までの調査で、毎年ほとんど8~9万人で推移していて、平成22年~23年で10万人を突破したものの、急激な増加というものは見られません。

しかし、これは言い換えるならば、介護離職が「定着」しているということでもあります。

また、女性の割合もほとんど80%で固定されていて、女性が介護と労働の間で大きな負担を強いられている状態もまた「固定」しているといっても言い過ぎではないでしょう。

2.介護離職を取り巻く現状

それでは、そんな介護離職を取り巻く現状はどうなっているのか見ていきましょう。

2-1.介護離職者の本音

厚生労働省の平成23年24年の「雇用均等基本調査」より、介護離職者の本音をみてみましょう。

調査によれば、介護離職をした人の理由で一番多かったものは「仕事と手助け・介護の両立が難しい職場だったため」であり、その割合は男女ともに60%を超えています。

なかには「自分の希望として手助け・介護に専念したかったため」という人が男女ともに20%ほどいますが、やはりそれは少数派といわざるを得ません。

それは離職の際の継続意向の調査で50%を超える人たちが「続けたかった」と回答していることからも明白です。

この調査からわかることは、介護離職はやはり「望まない離職」であるという現実です。

さらに、仕事と介護の両立をしている人たちの30%が「出退社の時間の自由化」を、同じく30%が「残業の軽減と廃止」を求めていることも調査結果として出ています。

つまり、介護離職者の離職原因も、そのあたりにあると考えていいでしょう。

2-2.介護離職者の本音に対する企業の対応

では、そんな介護離職者の本音に対して企業はどれくらい答えているのでしょうか?

まず、回答した企業のうち、介護に関する制度がある企業が約57%です。

その内容は「短時間勤務制度」を設けている企業が約54%、「介護時のフレックスタイム」を導入しているのが約11%になっています。

これをみると一見多そうに見えますが、毎年約10万人もの労働者が自らの望まない形で介護離職をしている現状と約半数の企業が対策をしていないことを考えたら、これでは不十分だといえるでしょう。

3.職種別にみた介護離職に対する意識

では、介護離職への対策を必要とする企業の中でも、どんな企業が介護についての意識をしっかりと持っているといえるのでしょうか?

仕事と介護の両立に関する企業アンケート調査(平成24年度厚生労働省)からその内情を見ていきましょう。

3-1.介護者の数を把握している企業

まず企業で労働者の介護者を把握している職種は?といえば、やはり医療福祉系がダントツです。

約60%が、あらゆる方法でその数を把握しており、特に把握していないと答えたのは約36%になっています。

しかし、これからわかる事は、医療や福祉という介護に直接関係する職種でさえ、約40%の企業がその数すら把握できていないという事実です。

また、これが製造業になると、特に把握していないと答えた企業の割合は52%、情報通信業、運輸業、郵便業では53%と、ほぼ過半数の企業が数すら把握できていないというのが現状です。

ちなみに全企業で見ても、数すら把握していない企業は全体の43%にも上っています。

3-2.介護離職に対する対策は職種によりバラバラ

では、それぞれの企業によってどんな対策がなされているかについてですが、職種によってばらつきがみられます。

たとえば介護者の人数の把握ができてない割合の大きかった建設業が、実は介護休業の点においては「法定を上回る内容」で整備していると答えた割合が34%と多く、むしろ医療福祉関係が「法定通りの内容」といういわゆる最小限にとどめている割合が91%と高くなっていました。

4.まとめ

毎年介護離職者が10万人ずつ増えているという現状。そして、そんな介護離職者の約60%がやめたくないという現実、そして、企業が労働者の中の介護者の数すら把握できていない現状。

これらのことからわかるのは、制度の充実の前にまずその現状の把握が必要だということでしょう。

今後は、いかに企業が介護離職者の現状を把握できるのか、もしくは介護者自身が自分の存在を会社に認識させていくのかが重要になっていくでしょう。

この記事が、介護離職でお悩みの方の現状把握のお役に立てれば幸いです。

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