自分一人で抱え込まない。介護離職の実態と対策

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少子高齢化社会の日本において、避けて通れないのが介護の問題。

しかも、いまの日本は高齢化を超えた超高齢化ともいって過言ではない社会で、介護をするという経験は、人生の中でとうぜん通る当たり前の経験ともなってきています。そんななか問題となっているのが「介護離職」。

今回の記事ではこの介護離職についてご紹介いたします。

1.介護離職とは避けるべき未来

家庭内に介護の必要な家族がいて、その介護のために仕事をやめる。介護離職とは簡単にいうとそういうことですが、その実態は決して簡単なものではありません。

とうぜん仕事をやめるのですから、その日を境に収入はなくなり、また、日々切り崩して減っていく預貯金とつらい介護の日々のなかでたまっていくストレスは想像を絶するものです。

しかも、介護に余裕ができたからといって再就職は簡単なものではなく、とうぜん収入はかなり妥協が必要です。ですので、あくまで避けるべき未来として介護離職については考えておくべきなのです。

2.介護離職は他人ごとではない

介護離職ときくと、「自分は関係ない」「うちの親は大丈夫」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、他人ごとではありません。ここでは介護離職の現状についてご紹介いたします。

2-1.年々増え続ける介護離職の数

介護離職者の数は、直近の調査である平成24年の調査によると年間10万1千人に上ります。この数字は、年々増加傾向にあり平成19年は8万8千人だったものが、平成23年人には10万人を超え現在に至っています。

もちろんこの背景には、介護をしながら働いている人数が増えている事実があるのは言うまでもありません。なんと、同調査によれば、約290万人もの人が、介護をしながら働いているという調査結果になっているのです。

この調査は平成29年にも行われ、現在(平成30年1月末)まだその結果は公表されてはいませんが、この290万人を潜在的介護離職のリスクを負っている人と考えればその数が減っているとは思えません。

2-2.介護しながら働くが常識となった時代

介護離職の主な原因は、基本的には親の介護がその一番の要素になります。高齢化が史上類を見ないほどに進んでいる日本において平均寿命は、男性が80.98歳・女性が87.14歳とかなりの高水準に達しています。

これは、20代の頃に子供が生まれていると考えれば、定年を迎えてもまだ親は健在だということです。もちろんこれは寿命であり、健康寿命ではありませんから、平均で80歳以上生きる人のかなりの割合が要介護者になっていると考えれば、退職までに介護と仕事との両立はもはや当たり前のことだといえるのです。

しかも、退職間際の、肉体的にも精神的にも初老という段階においても、介護は続いています。さらに、年金の開始年齢がどんどん引き上げられている昨今では定年も65歳が常識となりつつあり、しかもその後も嘱託や様々な形で働かなければいけない時代です。

そんな中で、仕事と介護を続けていくことがいかに困難かは言うまでもありません。

2-3.働き手も決して若いとは言えない状態での介護

たとえ働き手が若くても、簡単ではない介護と仕事の両立。しかしこれまで説明した通り、高齢化社会において、働いている本人もすでに若くないのに仕事と介護の両立が求められる世の中になったのです。

そしてそれは、介護離職を増やす大きな要因であることは言うまでもありません。そしてまたそれは、介護離職を考えるときに、この先もしかすると自分が介護を必要とする年齢になるまでずっと介護は続くかもしれないということを念頭に置かなければいけないということです。

金銭についてもまた、ある程度時を置いてからの再就職を考えるとしてもその試算は、かなりシビアなものになると考えて間違いありません。

(参考)

 平成24年就業構造基本調査結果 総務省 http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/pdf/kyoyaku.pdf

 平成28年簡易生命表 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life16/dl/life16-15.pdf

3.介護と仕事の両立をどう考えるか

3-1.職場との折り合い

そんな状況の中、介護離職のきっかけとして一番多いのが、職場との折り合い。平成28年の内閣府の調査によると、介護離職をした人のうち男女ともに6割を超える人たちが、職場との折り合いの悪さをその理由に挙げています。

これはいわゆる職場の無理解も含めて、ある意味制度上の問題。政府によって介護離職を減らすために様々な方策は打ち出されていますが、この数値を見る限り、やはり企業が介護離職についてスピード感を持った対策ができているとはいいがたいの現状のようです。

つまり、会社や企業が変わるのを待っているというのは、やはり愚策であるということです。今後10年後20年後に例えば社会的コンセンサスとして介護離職を減らすべく企業や社会全体が努力し、成果を上げることができたとしても、今のあなたには何の関係もありません。また、それを見越して物を考えるのは、あまりに危険だといわざるを得ないのです。

3-2.我慢をしてはいけない

これは介護と仕事の両立ということにかかわらず、介護全般に言えることですが、我慢は禁物です。

確かに介護をする相手は、あなたにとってかけがえのない親であったり家族であったりするのでしょうが、しかし、いくら肉親であてもストレスは着実にたまっていきます。そこに、何もなくてもストレスのたまる「仕事」という要素が入れば、そのストレスは尋常ではないのです。

そんな中で、あなたがもし我慢をし続けるということになれば、介護離職よりももっと大変な状況に追い込まれる恐れも存在することを忘れてはいけません。もしあなたが、要介護者である家族を抱えて心身を病んでしまえばどうなるでしょう。

万が一あなたが、仕事と介護のストレスの中で、要介護者に対して愛情の裏返しのような怒りや憎悪を感じるようになってしまっては、大変です。我慢、それは、はっきり言って誰にとってもプラスにならない選択です。

3-3.介護離職について考えてみる

とうぜん介護離職をすすめするわけではありません。しかし、自分の生活や心身が破綻する前に介護離職について一度考えてみるということも必要なことです。介護離職をしたら、いったいこの先にどのようなことが待ち受けていて、金銭も含めた先の見通しはどうなるのかを考えてみましょう。そして、そこにある現実をしっかりと見つめてみましょう。

きっと、そのまま介護離職に追い込まれるような事態になれば、かなり困難な道のりが待ち受けているという事実をそこで認識するはずです。それは、ある意味追い打ちのように感じるかもしれません。介護で心身共に疲弊し、その中で仕事も頑張っている人に、介護離職をやってこの状況を変えようとしてもそこに待ち受けているのは困難な人生だと知らせるのですから。

しかし、きっとそこで、このままではいけないという現実に気づくはずです。そう、一番いけないのは「このまま我慢できるところまでして、ダメなら介護離職を」という想いを抱えて介護を続けて行くことです。それは決して、建設的な考え方ではないのですから。

4.介護離職をしないための対策

以下に介護離職をしないための対策をご紹介いたします。

4-1. 介護離職をしないための対策(1)まずは自分一人で考えるのを辞める

介護離職をせず、介護と仕事の両立を図るうえで一番大切なことは、自分一人で抱え込まないことです。介護のことで会社に迷惑をかけたくない、家族に迷惑をかけたくない、他人に任せるのは大切な要介護者である家族に対して申し訳ない。

気持はわからないでもないですが、はっきり言ってこういった考えはもう捨ててしまいましょう。

介護は、もはや社会の問題なのです。自分の置かれている状況がいかに苦しいもので、きちんと考えないと介護離職という非常に困難な選択肢を選ばなければいけないのだということをしっかりと踏まえ、しっかりと人に頼りましょう。

誠実な介護と無謀な介護は違うのです。ほんとうに、要介護者に対して誠実でありたいと考えるならば、まずはあなたがしっかりと心身ともに健康な状態で、働いてお金を稼げる状態を確保するのが、一番なのですから。

4-2. 介護離職をしないための対策(2)会社に報告する

まず初めにやるべきことは、きちんと自分が要介護者を抱えて介護中であることを会社に伝えることです。会社としては、あなたが要介護者を抱えて介護中であることを知らなければ、あなたに対してなにか配慮したくてもできません。

確かに、今はまだ会社の介護に対する認識は低いかもしれませんが、離職は会社にとってもマイナスなのは確かです。きちんと伝えておくことで、会社の方で何らかの対策を立ててくれたり、相談に乗って融通を聞かせてくれるということはないとは言えません。

また、要介護者を抱えるとケアマネージャーや医者といった人たちからの連絡が増えます。会社に報告せずにそういった人たちからの頻繁な連絡を受けるのは、当然ですが、会社内でも決して良い評判にはなりません。

頻繁な私用電話や離席が、会社内での悪評につながるのは会社人であればわかると思います。ですので、まずは会社に対してしっかりと報告をし、自分が介護中である事実を知ってもらうことは重要なことなのです。

4-3. 介護離職をしないための対策(3)各種介護サービスを利用する

いまや介護サービスというのは、社会の基幹産業となりつつあり、その様態も多様化しています。ですから、自分の状況を勝手に「介護サービスなんか受けられるわけがない」と判断することなく、まずは自分に合った介護サービスがあるのかどうかを調べてみることが重要です。

そのためには、まずは自治体において要介護認定を受けましょう。そのうえで、ケアマネージャーをしっかりと頼り、相談することで「金銭」「時間」「要望」などをしっかりと伝えて自分に合った介護サービスを探していくのです。

もちろん、要望に合ったものはないかもしれません。しかし、こうして相談し、様々な可能性を専門家と相談していくことで、素人にはわかりえなかった方法ややり方が見えてくることもあります。まずは、しっかりと相談することが重要なのです。

4-4. 介護離職をしないための対策(4)とにかく相談をする

やはり、大事なのはとにかく相談です。例えば、国や自治体には様々な相談窓口が存在しています。国民健康保険団体連合会や保健所、社会福祉協議会、地域包括支援センターなどでは、各種相談を受け付けております。自分の悩んでいることや、相談したいことが公的機関や専門機関に相談すべきことなのかを悩む前に、まずは、相談してみましょう。

あなたの悩みが一体どこに相談すべきことなのかさえ、相談すれば教えてもらえるのです。また、ネット上で同じ悩みを持つ人に相談するのみいいでしょう。安心介護(https://ansinkaigo.jp/)などの介護についてのサイトでは、同じ悩みを持つ人と交流を持つことも可能です。また、地域に要介護者を抱える家族会などがあれば参加してみるのも一つの方法です。

一番初めに書きましたが、介護離職は避けるべき未来です。金銭的にも精神的にも、また先の見通しを考えた場合でも、その道のりは困難で簡単に乗り越えていけるものではないからです。ですので、まずは、しっかりと情報を得て、どうにか介護離職をしなくてすむ方法を模索しましょう。

会社も含めたたくさんの人にきちんと現状を認識してもらい、そしてそのうえでしっかりと多くの人に相談をして、最適な道を選ぶ努力をできるだけしておくべきなのです。

5.すでに介護離職をしてしまった場合の対処

以下にすでに介護離職をしてしまった場合の対処をご紹介いたします。

5-1. すでに介護離職をしてしまった場合の対処(1)まずは現状についてしっかり認識する

重要なのは、今あなたにいくらのお金が残されていて、今後どれだけかかるかという計算です。そこには、あなたが介護する人の寿命の予想も入るので、ハッキリ言って気の進む計算ではありませんし、背徳感さえ感じるものかもしれませんが重要なことです。

そしてその際、忘れてはいけないのは、お金はあなたが亡くなるまで必要だということです。そのお金は、介護に必要なだけではなく、あなた自身の老後においても必要なお金になるのだという認識です。

5-2. すでに介護離職をしてしまった場合の対処(2)再就職を試みる

簡単な道のりではありませんが、再就職を試みることは必要です。介護の負担にならず、そして、自分を雇ってくれるという職場は本当に少なく、特に介護離職は50代が中心ですから普通の再就職でも簡単ではありません。しかし、お金は必要なものですので、選り好みをせず何でもチャレンジしてみる必要があります。

5-3. すでに介護離職をしてしまった場合の対処(3)行政や家族に頼る

そのうえで、どうしてもお金のやりくりがうまくいかなかったり生活が回らない時は早いうちに行政や家族に頼りましょう。この問題は先延ばしにすればどうにかなるものではありませんし、先延ばしにすればするほどあなたの心身の負担は増大し、よい結果を招くことはありません。

ですので、我慢せず、しっかりと周りを頼りましょう。家族が無理なら行政の窓口で自分の状況を伝えて、その解決策を行政と一緒に模索していくことで先が開けることはあります。

6.まとめ

介護離職は、介護の問題そのものといっていいほど介護の問題の本質に近いところにあります。そして、介護の問題で一番よくないのは我慢したり抱え込んだり、もしくは先の甘い見通しにすがってやり過ごすというものです。

ですので、現在介護離職を考えている人もすでにしてしまった人も、もしくは可能性がありそうな人も、大切なのはしっかりとした見通しを立てて、頼るべきは頼り、きちんと相談して一人で抱え込まないようにすることです。

今回の記事を読んだ方が一人でも介護離職の悩みから解放されることをこころから祈っています。

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