中小企業の介護離職を防ぐための対策~両立支援等助成金とは~

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最近、街中にいる人を見まわした時、年配の方が増えたと感じることはありませんか。

実際、ここ10年前後の間に65歳以上の「高齢者」といわれる方がどんどんと増え、2016年には65歳以上の方が日本人の27.3%、実に4人に1人以上にまで達しています。食生活の充実や医療技術の発達により、日本人の寿命はどんどんのびています。

寿命がのびて長生きすること自体は素晴らしいことです。しかし、その一方で75歳以上になると病気をすることが増えたり、足腰が思うように動かなくなったりと日常生活をおくるのに人の助けが必要になったり、介護を受けなければいけなくなることもあります。

介護保険や介護施設などの仕組みや介護福祉士など専門家の方のおかげで、いろいろな人の手助けを受けられるようになってきています。しかし、そうはいっても、なかには「介護は家族でやる」、「両親の最後は自宅で看取ってあげたい」、「介護施設になかなか入れない」という思いから、自宅で家族が介護をしながら仕事もしているというケースも少なくありません。

そのため、「家族の介護」と「仕事」という2足のわらじを履いて頑張ってきたけど、両立させることに限界を感じたり、要介護者の病状などが悪化したことが原因で仕事を辞めざるを得なくなる「介護離職者」が増えています。

最近、「うちの会社でも役職者やベテラン社員の介護離職が多い」と感じることはないでしょうか。平成27年版高齢社会白書による調査では、介護や看護を理由に離職・転職する方の数が年間10万人を超えていると報告されています。

離職者が増えること自体も問題ですが、それ以上に問題なのが、こうした介護離職する人たちの多くが40~50代の働き盛りの世代であるということです。40~50代の働き盛りの世代といえば会社では役職についていたり、ベテランで部下や後輩の指導にあたっており、会社には欠かせない重要な人材です。

このベテラン層の従業員が介護離職で辞めた後に、若手社員を雇い入れ、人数上は同じになったとしても、経験やスキルという意味では十分にカバー出来るわけでもありません。そういった意味でも「介護離職」は、企業にとって大きな痛手です。

今回の記事では、こういったベテラン社員の介護離職を防ぐためにはどうしたらよいのかをご紹介いたします。

1.介護離職を防ぐために助成金を利用する

介護離職を防止するために、いろいろな社内制度や支援を通して、ベテラン社員の介護離職をなんとかして阻止したいと考えている企業様も多いのではないでしょうか。しかし、実際には従業員をサポートしたいという気持ちがありながらも制度が整っていない企業が多いのも現実です。大企業であれば、労務に詳しい労務担当者や外部の方に依頼して制度をつくり、実際に運用するのも難しくないでしょう。

しかし、中小企業の場合はどうでしょうか。

「何とかして介護と仕事両方を頑張っている従業員の力になりたい、従業員が安心して働ける環境を作りたい。でも何をどうして良いか分からない」などと悩んでいる会社も少なくありません。

そんな時に活用したいのが、厚生労働省がおこなっている介護離職防止のための助成金「両立支援等助成金」です。

この助成金制度を活用することで、助成金が得られるのはもちろんですが、制度をつくる手順や必要な資料なども準備されているので、今まで考える機会がなかったという企業様もぴったりです。少し複雑で、助成金の申請なんてうまくできるかなと不安や心配を感じている方もいらっしゃると思いますが、プラン作成のノウハウをもつプランナーからの支援を無料で受けることができるので不明な点は相談すると良いでしょう。

この機会に介護支援制度のある従業員にやさしい会社を目指して、大切な従業員が介護のために離職しないでよい環境をつくりましょう。

1-1.両立支援等助成金の制度とは

両立支援等助成金は、介護をしている方本人が申請する助成金ではなく、介護している従業員を雇用している事業主(会社)が申請できる助成金です。

両立支援等とあるように、この助成金は介護だけでなく産休や育休なども含み、仕事と家庭生活を両立させるための支援や女性活躍推進に取り組んでいる事業主(会社)が対象です。

それぞれ

・事業所内保育施設コース

・出生時両立支援コース

・介護離職防止支援コース

・育児休業等支援コース

・再雇用者評価処遇コース

・女性活躍加速化コース

という6つのコースから成り立っています。

この中で、今回は介護離職防止支援コースについてみてみましょう。

1-2.どれぐらいの助成金がもらえるの?

〇支給人数

1事業主あたり2人(無期労働者1人、有期労働者1人)まで支給

〇助成金の金額

介護休業利用時:中小企業57万円、中小企業以外38万円

介護制度利用時:中小企業28.5万円、中小企業以外19万円

1-3.申請までの流れ

ここからが申請するための一番重要な流れです。介護離職防止支援コースの助成金を給付するまでには7つの流れがあります。厚生労働省の資料に詳細が書かれていますが、ここでは申請までの流れとあわせて注意するポイントなどをまとめておきます。

下記で全体の流れを把握しておくと、いざ助成金の資料と向き合った時にも理解しやすくなりますので一度目を通しておかれることをおすすめします。まだ、助成金の申請をするかどうか決めていないという方もぜひご覧ください。

1-3-1.職場環境整備の取組

介護離職を防止するためには、仕事をしながら介護を頑張る人にとって無理がない職場環境を整えることが大切です。そのためには現状を知っておくことが必要です。そのため、社内アンケートを実施して、従業員の仕事と介護の両立に関しての実態を把握します。

アンケートで実態が把握出来たら、現状の問題点などを踏まえ介護している従業員が働きやすいような制度を作る必要があります。また既に、何らかの制度がある場合は、その見直しが必要です。これらは介護休業法に基づいて制度作成をおこないます。

1-3-2.介護支援プランで支援することを社内へ周知

介護支援プランは、雇用する労働者が介護休業を取得したり、職場復帰を円滑にするためにすべき内容や手順などを事業主が定めたプランのことです。このプランの中には、介護休業を取ろうとする人がおこなっている業務の整理や引継ぎに関しての項目も盛り込んでおく必要があります。

制度の設計が出来たら実際に運用するための準備をおこないます。まず、従業員へ介護関係制度を周知させ、就業規則にも記載しておきましょう。

さらに、人事や労務の担当者が従業員に対して研修をおこないます。研修は1時間以上おこない雇用保険被保険者の8割以上が受講しなければいけません。研修内容には資料の内容に加え、社員の年齢構成や自社での介護制度の利用状況などアンケートで分かった情報も盛り込むと、より身近な問題として関心をもちやすくなるでしょう。

これにより、介護問題に直面していない従業員にも、介護と仕事の両立についての理解を深めてもらい、実際に仕事をしながら介護している従業員への協力体制を整えます。複数、支社や支店があり対面形式での研修が難しい場合は、対面でおこなった研修を録画した動画を視聴して、所定の調査票を配布・回収することで対応できます。

そして、実際に今まさに仕事と介護の両立に直面している従業員が相談できる窓口を設置し、困ったり悩むことがあれば相談にくるように周知します。

1-3-1と1-3-2に関しては厚生労働省が指定する書式を使っておこなうので、わざわざ資料の準備をする必要がありません。

1-3-3.介護支援を受ける従業員が上司と面談

実際に介護をおこなっていて支援を必要とする従業員がいる場合は、介護休業開始日の前日までに支援プランを作成するために上司や担当者と面談をおこないます。

通常は(1)家族が要介護の状態になった時に、当面どう対応するかといったことを検討する

初回面談と(2)仕事と介護を良質するための働き方を検討するプラン策定面談の2回おこないます。

ただし、介護や家庭の状況によって、いろいろなケースがありますので休業日前日までにプラン策定面談を最低1回おこなってください。その際、面談形式が難しい場合は電話やメールでも可能ですが、必ず議事録などの記録を残しておいてください。この面談がない場合は助成金の対象にならないので注意が必要です。

1-3-4.介護支援プランの作成

面談の内容をもとに、どういった支援をおこなうのか実際の介護支援プランを作成しましょう。

1-3-5.引継ぎ・業務体制検討

介護支援プランが作成出来たら、実際の調整をおこないます。介護休業を取得する場合は、休業中、業務に支障が出ないように上司やほかの従業員へ業務の引継ぎをおこないます。なお、介護休業は連続して1ヶ月以上または分割の場合、合計30日以上となり、その後、職場復帰します。

介護休業は取らないけれど、介護制度を利用して所定外労働の制限や時差出勤、深夜業の制限、短時間勤務などを連続3ヶ月以上(分割利用は合計90日以上)利用する場合は業務体制の調整が必要です。業務量や状況によっては必要であれば、派遣社員やアルバイト、パートなどの雇用を検討しておきましょう。

1-3-6.フォロー面談

介護休業や介護制度利用を経て復帰した際には、復帰から1ヶ月以内にフォロー面談をおこなわなければいけません。フォロー面談では、今後、仕事と介護を両立するために従業員がどのような働き方を希望するのか、それに対して事業主がどういった点に配慮する必要があるのかを確認するためにおこないます。このフォロー面談の内容も記録に残しておく必要があります。

1-3-7.申請

フォロー面談が終われば、いよいよ助成金の支給申請です。介護休業・介護制度、それぞれに申請期限があります。介護休業から復帰した日から1ヶ月経過した日の翌日から2ヶ月以内が期限です。また介護制度の場合は、介護制度利用最終日から1ヶ月経過した翌日から2ヶ月以内です。

申請は事業主の人事労務管理部署がある事業所の所在地を管轄している都道府県労働局で、郵送での申請も可能です。

2.まとめ

現代は介護と仕事の両立という働く人にとって厳しい社会であると同時に、景気が大きく伸びることがなく経営が苦しい会社にとっても辛い時代です。

そのため、会社の業績をあげることが優先で、福利厚生まで手が回らないという会社もおおいでしょう。しかし、そこでうまく助成金を利用して従業員が介護離職に追い込まれないように対策を立てることで、「従業員が安心して働ける会社=顧客や社会にとっても魅力的な会社」となるはずです。

そうなれば、ベテランで会社の業績回復に欠かせない重要なスキルを持った従業員の流出を防止できるのはもちろん、会社のイメージも良くなります。助成金をうまく活用することで、最小限の努力で最大限の効果を発揮することが出来ます。まだ、介護離職の対策をとっていないという企業様はぜひ、すぐに準備を始めましょう。

 

 

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