医師の過酷な労働環境とその実態とは?

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医師 労働時間

2025年には団塊の世代の人たちが全て75歳になりきるといわれているなか、医療の必要性が高くなっており、医師の存在が不可欠となっています。

 

しかし諸外国の中でも、我が国の医師の人数は極めて少なく、 その背景には医師の過重労働が問題となっています。

国は今働き方改革が進められていますが、医師の過労死が深刻となっており、医師の働き方について議論が進んでいます。

ここでは我が国の医師の勤務状況についてお伝えし、 今後医師の業務をどうあるべきかお伝えしていきたいと思います。

1.医師の勤務時間の現状とは

私たちの労働時間については、労働基準法によって明確に定められています。労働基準法32条には、休憩時間を除いて一週間に40時間を超えて労働させてはならないと定められています。つまり私たち労働者には、休憩時間を除いて1日に8時間を超えて労働させてはならないことになっているのです。

しかし若手医師や学生を対象にした労働時間に対するアンケートの中では、労働時間の上限基準が守られていないと感じている医師が7割に上ることが分かっています。

労働基準上で言われる時間外労働においての過労死ラインは、月100時間以上である場合、もしくは2~6ヶ月間の残業時間の平均が80時間を超えている場合、と言われています。

医師の勤務時間の現場を見てみると、 診療科ごとによって平均残業時間は違いますが、 多くの診療科について過労死ラインを大きく上回っていることが分かっています(参考: 全国医師ユニオン 勤務医労働実態調査 )。

 

なぜこのような勤務状況になるのかと言うと、 労働基準監督署に時間外労働について届け出た場合、労働時間を延長できると言うものがあります。 労働基準法36条、いわゆる36協定と呼ばれているもので、特別条項付き36協定の場合、ほぼ制限のない時間外勤務協定を結ぶことも可能だと言われているのです。

医師の過労死は、実際に多くの労災認定もされており、自殺者も出ています。とても問題になっている現状があります。

2.診療科別によって違う医師の労働環境

全国医師ユニオンの発表している勤務医労働実態調査によりますと、診療科によって勤務時間が大幅に違うことがわかります。

 

2-1.診療科別の労働時間

例えば直近一週間の実働時間を調べてみたところ、

勤務時間の長い診療科は、

・救急で94.4時間、

・婦人科で82.7時間

・耳鼻咽喉科で78.3時間となっています。

逆に勤務時間の短い診療科は

・リハビリ科で37.2時間

・眼科で42.8時間

・皮膚科で49.7時間となっています。

このような労働環境になる理由としては、夜間の呼び出し対応や院内の診療外業務、当直、院内での教育研修、手術などが主な理由となっています。

さらにこのデータの中で、当直明けも通常勤務していると答えている医師が、全体の78.7%もいることが分かっています。

2-2.過酷な労働環境

労働法規上においては、この当直について労働のない宿泊である扱いになっていますが、病院の実態としては労働そのものになっています。 病院によっては当直中においても、経度から重症まで、絶え間なく診察を行っている状況もあるようです。 そのため当直中には全く休みが取れず、完全に寝不足の状態のまま通常勤務に入るということもあるのです。

当直明けも通常勤務になった場合、中には連続32時間以上の勤務時間となるようなこともあります。 そのような状態であると、当然ながら集中力や判断力が低下していることは否めません。

 

3、なぜ医師の労働環境は過酷になるのか

このような医師の労働環境が過酷になる背景として、一番問題になっているのが医師不足であると言えます。

3-1.医師不足の現状

我が国の人口十万人に対しての医師の数については、 平成20年で 224.5人となっています(参考:厚生労働省 社会保障審議会資料11/11)。

この数字は国際的な比較をするとかなり悪い数字で、35カ国の先進国が加盟する OECD (経済協力開発機構)の単純平均の約2/3となっています。

また近年では、女性医師が増加傾向にあります。 平成20年の時点では医師の全体の18.1%を占めており、医学部に入学する学生の中でも女性の割合は約1/3となっています.

しかし女性医師については、就業率の M 字カーブと言われ、年が経つにつれて減少している傾向となっています。

医師不足への対応を理由に、医学部の定員を拡大するなど医師を増やそうとする政策が実施されてはいます。しかしどこまで増やせばいいかという問題については厚生労働省についても明らかにはしていません。

もちろん医師は業務独占資格でもあるために、医師を増やせば解決するという単純な問題ではありません。

3-2.医師不足の背景に過重労働が

このような医師不足の背景には、過酷な労働実態が背景にあるのは間違いありません。

先ほど女性医師については、年が経つにつれて減少する傾向にあると言いましたが、女性医師の約25%は過労死ラインにあると言われており、 減少するのもやむを得ないと言えるでしょう。

人の命を守る仕事であるにも関わらず、疲労困憊の中で働いている医師も多く、医師たちはすべて疲労を少なくして質の高い医療を提供するようにしたいと考えているのです。

医師不足の背景の中に過重労働があり、その背景の中には労働基準法36条、いわゆる36協定があります。医師は当然ながら労働者ですから、法定労働時間を超えて働くために、病院とこの36協定を結ぶ必要があります。

しかし36協定といえども「月45時間、かつ年360時間」と言う時間外労働時間の上限というものがあります。 しかしこのような上限も到底間に合わないほど医師不足なために、多くの病院では特別条項をつけて36協定を結んでいます。特別条項付き36協定の場合、年6回まで大幅な時間外勤務協定を結ぶことができます。

このような労働条件の問題が医師の過重労働の背景にあるのですが、当然ながら過労死ラインに対する意識は常に持っておかなければなりません。

しかし2007年2月に起きた日本大学手の女性研修医の過労死については年間の宿直回数を77回していたことが分かっています。 新潟市民病院で起きた過労自殺については、残業が最長で月250時間であったことも分かっています。

このような状況の中で、医師を目指す人が少なくなっていることは、十分理解できることです。

 

4.医師の業務を見直すことはできるのか

全国医師ユニオンの発表している勤務医労働実態調査の中で、「働き方改革」で医師の労働環境は改善するかという問いに対して、ほとんど改善しないと答えた人が57.1%おられます。 肯定的な意見は、2割に満たなかったことも判明しています。

 

改善しないと思う理由は「診療体制の不備」「医療現場での法律が守られていない」「医師を労働者と考えていない」という内容が目立っています。

 

この背景には、 政府の「働き方改革実行計画」に掲げられた「医師の罰則付き時間外労働の上限規制」が 5年間猶予されたことにあると推測できます。 日本医師会の会長は政府の働き方改革について「医師の雇用を労働基準法で規律することが妥当なのか」とコメントしています。 このような政府の動きや日本医師会会長のコメントは、医師が「労働環境は改善しない」と思う理由を持って当然だと考えられないでしょうか。

医師の業務を見直すには、「医師の確保」「業務負担の軽減」「当直明け勤務の配慮」「当直回数の軽減」「勤務時間の短縮」「本業以外の業務負担の軽減」「医療リスクに対する支援体制」など、様々な取り組みが必要になります。

絵に描いた餅ではなく、医師が医師として業務に集中できるように、実効性のある働き方改革を行う必要があるでしょう。

 

5.まとめ

医師の労働環境の現状についてお伝えしてきました。

高齢化が凄まじいスピードで進む中、高齢者だけではなくみんなが安心して生活できる社会にするためには、医療が根底を支える必要があります。

そのために医師の役割というものは、とても重大なものであるのは間違いあありません。

医師が快適に労働できる環境にしなければなりません。現場の労働環境はあまりに劣悪であると言えるでしょう。 そのために、国が行う「働き方改革」については、さらに踏み込んだものになることが望まれます。

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