育児と介護の二重苦 ダブルケアの実態と対策

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結婚年齢の高齢化が進み、いま問題となりつつあるのがダブルケア。

これは介護と育児の両方を一度にしなければいけない状態のことで、詳しい説明をせずともそれが大変な状況であることはわかっていただけると思います。

今現在も多くの人が悩んでいるダブルケアという社会問題。

今回は、そのダブルケアの実態と対策について考えていきます。

ただ、対策については「効果的で即戦力な対策」というものは“いまだ存在しない”という現実を踏まえたうえでご覧ください。

あくまで、状況の緩和レベルですが、知っておくのとそうでないのとでは大きな差が出ます。

 

1・ダブルケアとは 高齢結婚が産むジレンマ

まずはダブルケアの現状と実態についてみていきましょう。

 

1-1・結婚年齢の上昇で生まれたダブルケア

ダブルケアの原因は、これははっきりとしていて、それは結婚年齢の上昇です。

いまだ旧態依然とした家制度の濃い日本において、親の介護というと普通は夫の方、つまり男の方の親の介護というのが基本になりますので、男性で見ていきます。

2015年発表の厚生労働省「人口動態調査」によると、男性の平均初婚年齢は31.1歳。

同調査によると、平均第三子出産年齢は結婚年齢+4歳ということになっていますので、初婚の男性にとって第三子が生まれる頃は平均でも35歳になっているという計算が成り立ちます。

これだと、平均でも生まれてくる子供の祖父母世代は還暦から65歳定年退職に差し掛かる年齢になるのです。

そして、何度も言うようにこれはあくまでも平均ですので、男性にとって第一子が生まれる頃には親がかなりの高齢に達しているというのは、決して稀な事例ではないのです。

 

1-2・働き盛りに休職を余儀なくされる

現在「介護離職」という言葉が大きな問題となっているように、介護だけでも離職を選択する人は増えています。

つまり、そこに子育てというものがプラスで加算される「ダブルケア」にとって仕事をやめなければならない離職という選択肢は、より現実的でシビアな選択肢となってくるのです。

しかも、30~40代というのは人間において最も大事な働き盛りの時期です。

この時期にいかにキャリアを積み、そして老後の貯えをしておくかというのが、今後の人生を決定付けるという時期であるにもかかわらず、離職して働けないというのは大きな痛手です。

そしてその根本が、介護はまだしも育児であるというのも小さな事実ではありません。

この先、子供を育て養っていくうえで、その元手となる財政の要である30~40代でのキャリアを棒に振ることの不安は、精神的な重荷であることは間違いないのです。

 

1-3・パートナーとの確執と相談相手の不足

ダブルケアの状態になり、妻が離職すると、夫の仕事上の負担は当然重くなります。

介護と育児という出費的にも大きな負担になる時期に労働力が減り収入が落ちるのですから、これはある意味仕方のないことです。

しかし、そうなると、夫の方に家庭を顧みる余裕がなくなるのも事実。

ところが妻の方も、介護と育児という過酷な状況下にあるのですから、夫のヘルプやサポート、もしくは精神的な支えをより多く求める時期でもあります。

しかもお互いにストレスをため、そして、余裕がないのです。

これでは、介護と育児という、本来家族全員で助け合っていかなければならないものであるにもかかわらず、パートナーとの不和や確執が訪れても無理はないのです。

しかも、その状態では、妻の相談に乗ってくれる人は少なく、親身になってくれる人もあまりいません。

 

1-4・国や社会、企業の対策は不十分

そんな中、国や社会、企業はどんな対策をしているかといえば、ほとんど何もしていないというのが現状です。

そもそも、今の社会では「介護離職」が問題となっているのですから、それよりもさらに深刻であるダブルケアに対策が追い付いているはずもありません。

介護と育児、それぞれにある程度の社会保障制度は生きていますが、それが同時になったときの負のシナジーには言及されていませんし、企業もありきたりの育児休暇が関の山です。

つまり、介護と育児のそれぞれについての対策はある程度整っていても、双方の負担が一気に存在するダブルケアに対する対策は追いついていないのが現状なのです。

 

2・ダブルケア対策の要はお金と精神

深刻な状況であるダブルケアの実態。

行政や社会、企業に期待できない以上、ある程度の自衛策を講じるしかないのですが、その際、重要視しなければいけないのが「精神」と「お金」です。

 

2-1・精神的ダメージは長引く

介護と育児の両方を個別に考えても「育児ノイローゼ」「介護ノイローゼ」という言葉があります。

そう、それらが別々の物であったとしても、それは精神に大いなる負担をかけるものなのですから、ダブルケアによる精神的負担は簡単な物ではないのです。

しかも、精神に負担を強いることで訪れる精神のダメージや病気は解決に長引くことが多いのも事実。

せっかく、介護と育児のうちどちらか、もしくはその両方の負担がピークになる状態を脱したとしても、そこで介護や育児をしていた本人が精神を病んでしまったのではそのあとの生活が大変になります、

ですので、まずケアすべきは、ダブルケアによって与えられる精神的ダメージの緩和なのです。

 

2-2・経済的ダメージは避けることができない

そして、やはり忘れてならないのは経済的ダメージつまりお金の話。

ソニー生命の「ダブルケアに関する調査2017」によると、ダブルケアに関する毎月の負担額は平均でもなんと81,848円に上るとされています。

つまり年間で100万円近いお金がかかるということです。

この出費を夫婦共働きの世帯が、妻の休職(離職)を前提に考えたとしたら、その経済的負担は大きさは深刻で、とても賄えないという人も少なくはないでしょう。

しかもここに生まれた子供の将来のための貯蓄が増えるとしたら……その負担は膨大です。

子供一人が国立大学を卒業するまでに必要な資金は約1000万円。もはや、子供の将来を制限するしか方法がない、とさえ思える状況です。

 

3・ダブルケアの精神面での対策は「とにかく相談」

では先ずダブルケアの精神面での対策を考えてみましょう。

精神面でのダメージは、ほとんどが蓄積型で、小さな発散の繰り返しが深刻な事態を防ぐ大きなキーとなることが多いものです。

ですので、重要なことは、こまめな発散、つまり相談です。

 

3-1・夫婦でともに乗り越えるという体制

まず、一番の相談相手として確保すべきはパートナーです。

もちろん、どちらが主たる生計を担っていても、またダブルケアをするのがどちらであっても、両者が大きな負担の中にあることは間違いありません。

そう、介護と育児の現実の前では、どちらも大きな精神的ダメージがあるのです。

つまり、この場合はどちらかがどちらかを労わるというのではなく、互いが互いに理解を示して支えあうという形が不可欠です。

夫か相談に乗ってくれない、妻が理解してくれない。ではなく、ともに支えあうという感覚。

まずは、これをパートナーとの間で構築していくことが重要です。

 

3-2・ひとりの時間を減らしSNSを活用する

ダブルケアをしているその期間は一人の時間がぐんと増えます。

すると、そこでたまったストレスは、どんどんと自分の内側にたまっていき、しかも、そこには休日もなければ、息抜きにお出かけなどという暇も余裕もありません。

そこで、活用したいのがSNSといったIT系のサービス。

ただ単にTwitterやInstagramなどで愚痴を呟くというのも、時には賛同し励ましてくれる人が出てきますので効果的な方法です。

また、ダブルケアを実際にしている仲間と、ネット上で出会うこともあります。

実際ダブルケアを応援するコミュニティサイト「ダブルケアTalk!!(https://doublecare-talk.jp/)」では、ダブルケアに関する様々な情報だけでなく、同じ悩みを抱える人たちとのコミュケーションもとれます。

 

4・ダブルケアの経済的な対策は「様々な支援を忘れずに受ける」

では次に経済的な対策ですが、これは様々な支援を忘れずに受けることです。

行政や企業の対策はいまだに不十分とはいえ、ゼロではありません。

とても下品な言い方になりますが「もらえるものはしっかりもらう」の精神で、しっかりとした支援を受けてもいいのです。

 

4-1・行政には介護保険がある

まず最初に抑えておくことは、やはり介護保険です。

訪問介護の場合、医療保険での負担は3割負担ですが、介護保険の負担は1割負担になり、大きな経済的な余裕が生まれます。

しかも介護保険ではそのほかにも様々介護サービスを受けられるようにもなりますので、肉体的、精神的負担がぐんと軽減することになるのです。

ただし介護保険はすぐに受けられるものではありません。

まずは各地方自治体の役所や地域包括センターに申請を出し、介護認定調査を受けなくてはいけないのです。

ですので、ダブルケアの必要性が出そうだと感じたら、すぐに介護保険の申請を忘れずにやっておくことが必要です。

 

4-2・企業に対して育児休業や介護休業の申請を行う

意外と知られていないのですが、育児休業と介護休業という法律で定められている支援が存在します。

これは「育児・介護休業法」という法律でしっかりと定められているものですので、会社に対してはしっかりと申請し、適用してもらうようにしましょう。

また年間5日間の休みがもらえる介護休暇という制度もありますので、しっかりと調べておく必要があります。

まずは、こういった制度を利用して「休職」にとどめ「離職」にならないような対策が必要です。

また雇用保険の介護休業給付が受けられる場合もありますので、自分が適応の範疇になるのかをしっかりと調べておきましょう。

もちろんそのうえで、企業が独自で設定している支援を受けることも重要です。

しかし、育児休業も介護休業も「法律で定められている労働者の権利」ですので、忘れずに確実に利用しましょう。

 

5・まとめ

知識は力 ダブルケア対策の最重要ポイントは「知る」こと

確かに、現段階では社会も行政もダブルケアに対する認識や対策は不十分です。

しかし、それでも、受けられる支援はありますし、地方自治体によっては(特に横浜市等)ダブルケアに対して先進的な支援を行っている自治体もあります。

NGOによる支援や地域のコミュニティーの支援がある場合もありますし、生命保険会社の中には、ダブルケアをメインターゲットにした商品や相談窓口もあります。

そう、まず一番大切な対策はそういった事実を「知る」ことです。

知識は力です。まずは、ダブルケアに対する知識をしっかりつけることで、この苦しい時間を乗り越えていきましょう。

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