アルコール依存症

アルコール依存症への対策・対処。治療と入院後の実態は?

「なんとか入院して治療させたいのですが…」

「もう、お酒をやめさせるには入院しかありません!」

長年にわたり、アルコール依存症でお悩みのご家族はどなたも…
「お酒を止めてさえくれれば…」
「入院して治療を受けてくれさえすれば…」
とお考えになります。そしてもちろん、私もその気持ちはよくわかります。しかし、現実はどうでしょうか。

・「夫は今入院していますが、病院から出たらすぐ酒を買うといい切っています。このまま退院されても、またあの修羅場が待っているかと思うと私には恐怖しかありません。」

・「もう飲まない。」といって結局隠れて飲んでいる。これがいったい何回繰り返されてきたことか。あまりしつこく言うと逆ギレされ、怒鳴ってきたり物を投げたりするので困り果てています。

・「アルコール依存症でただいま求職中の夫は、もうすぐ2度目の入院を終えて帰ってきます。前回の入院時と同様、愛からず大柄で自己中心的な言動の夫ですから、おそらく同じことが繰り返されると思います。とても「これから一緒に頑張ろう。」という気にもなれず…つらいです。」

・「息子は15年ぐらい前からお酒を飲み、暴れるようになりました。今では朝から飲み始め、飲みつぶれては寝る。起きては飲むの繰り返しです。二度ほどアルコール中毒のような症状で入院しましたが、どちらも単位したその日からまた飲み始めました。このところ、失禁することが増えてきました。もう、何をどうしたらいいか。このまま〇んでくれた方がいいとさえ思ってしまいます。」

これは、私がいただいたアルコール依存症の相談の中で、入院治療をした後いただいたものです。そしてほとんどの方が、こういった入院治療後の現実をネットなどの検索で承知されています。それほど、お酒をやめること。それを続けることは困難なのです。
では、アルコール依存症を解決することはできないのか?というと、私は決してそんなことはないと考えています。また、現実に問題解決をなされた方は決して少なくありません。
ただし、私がご紹介しているアプローチとは、決してお酒をやめさせるというものではありません。
では、お酒をやめさせずにいったいどうしてご家族に喜んでいただけたのか?ご興味のある方は以下の動画セミナーをご覧ください。

 

お酒をやめないのに、ご家族が喜ぶ結果が得られる方法とは?

まとめ

 私のご紹介しているアプローチは、決してアルコール依存症の治療ではありません。ですが、アルコール依存症でお悩みのご家族から、とてもお喜びの声をいただいています。その理由も、この動画でお解りいただけたと思います。
今後、さらに具体的なアルコール依存症対策について、さまざまな動画セミナーでご説明していきますのでお役立てください。

なお、近日中に私の書いたアルコール依存症についての小冊子を以下でご紹介させていただきます。お悩みの方はぜひご利用ください。

無料で相談できる公的機関も!アルコール依存症の相談窓口

「だいぶお酒が減り、わけのわからないことで怒ったりしなくなりました。」

 アルコール依存症のもっともやっかいな問題は、患者さんが自分の問題を自覚しないことです。飲酒による暴言や問題行動、体調の悪化などがわからないため、ほとんどのケースで断酒や医療機関への受診を拒否します。そのため、ご家族はどこに相談したらいいのか?疲弊しきってわからなくなっているのが現状でしょう。

ですが、あきらめてはいけません。アルコール依存症を放置すれば言動はさらに悪化します。

また、今は家庭内だけの問題であったとしても、今後、外でトラブルが増えることは目に見えています。

また、患者さんがご主人ならば仕事を退職するなど経済的な負担もさらに悪化します。さらに、お子さんがいらっしゃるなら子供の成長への影響も少なくありません。一刻もはやく専門機関に相談しなければ、問題はどんどん大きくなります。

そこで、すぐに行動ができるよう、この記事ではアルコール依存症の相談窓口をご紹介しますのでお役立てください。

1.相談の前に、アルコール依存症患者さんのご家族が自分をとり戻しましょう

「いくらお酒をやめてといっても暴言が返ってくる」

「飲まないと約束したのに隠れて飲んで、飲んでいないとウソをつく」

患者さんはみなこんな調子ですから、私の経験ではご家族はみな長期にわたる精神的なストレスで自分を見失っていました。なかには、患者さんが地域でトラブルを起こすようになったり働かなくなったりと、より強い精神的ダメージだけでなく経済面でも困窮している方もいらっしゃいました。

このように、アルコール依存症では患者さんを支える家族が疲弊し、精神的なストレスで自分を見失っていらっしゃいました。なかには相談ができないほど情緒が不安定になっている方もいらっしゃいます。ですから、まずは、ご家族のあなたが自分を取り戻してください。

そして「あなたが自分をとり戻す方法」とは、皮肉なことですがアルコール依存症の患者さんへのアプローチと同じです。別記事、「アルコール依存症は治せる|その症状から分かる原因と対策方法」で具体的なアプローチをご紹介していますので参考にしてください。そしてこのアプローチを実行し、あなたが自分をとり戻して次のアクションを起こしましょう。

2.アルコール依存症の相談窓口

冒頭で申し上げたように、アルコール依存症でもっとも困ることは患者さんが自分の飲酒に問題を感じないこと。また、問題を感じないからこそですが、医療機関への受診を拒否することです。そこで、まずはご家族が以下のような相談窓口を利用しましょう。

2-1.相談窓口その1. 各都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センター

精神保健福祉センターではアルコール依存症の無料で相談ができます。患者さん本人はもちろん、家族や周りの関係者も相談することが可能です。無料での電話相談はもちろん、センターによっては面接による相談を行なっている場所もあります。

2-2.相談窓口その2.全日本断酒連盟‐断酒会

全日本断酒連盟は、お酒で悩んでいる本人とその家族をはじめ周囲の方々の相談に無料で応じてくれます。患者さんが飲酒の害から回復し、酒のない新しい生活を始めることできるように。そして、社会の信頼を回復できるよう支援してくれる団体です。電話でお問い合わせいただくといいでしょう。

この断酒会では、患者さんはもちろん家族も参加して行われる例会を各地で開催しています。この例会は、お互いの壮絶な酒害体験を話し聞くことで断酒持続の原動力とすることを目的に開催されています。

全国各地に相談窓口がありますので、こちらからお住いの都道府県をクリックしてお近くの断酒会に電話でお問い合わせください。また、この断酒会のHPから、各地アルコール専門医療機関が紹介されています。

3.根本的な解決を望むのであれば十分な栄養をとり、体調不良を改善する

アルコール依存症でいただいてきた相談の多くが、上記のような相談窓口を利用されたご家族からでした。相談はしてみたものの、本人が相談窓口に行くことを頑なに嫌がり、どうしようも出来なくなった結果として私の元を訪ねてきた経緯がほとんどです。

私の元を訪れる前にぜひ一度、下記の方法を実践していただきたいとおもいます。実践された上で、解決しなければぜひお尋ねください。実践されたほとんどのケースで飲酒量は確実に減っています。

3-1.アルコール依存症は極度の栄養失調なので栄養を補いましょう

あまり知られていない事実ですが、栄養の不足は精神状態を不安定にします。そしてもちろん、アルコール依存症患者さんはみな、極度の栄養失調状態。(詳しくは別記事「アルコール依存症は治せる|その症状から分かる原因と対策方法」をご覧ください。)

3-2.ろくにご飯を食べないアルコール依存症だからこそ、脳も栄養をとることで働きが良くなる

人の体は60兆個もの細胞が働くことで活動しています。また、脳には千数百億もの神経細胞があります。そしてこれらは、血液から運ばれる酸素やブドウ糖、栄養を使うことではじめて正常に働くことができます。そしてほとんどの方が、この事実を正確に理解していないと私は感じています。

血液から運ばれた酸素やブドウ糖、そして主にビタミンB1が細胞内のミトコンドリアにとり込まれ、そこではじめて細胞は活動するエネルギーを得ることができます。また、これらのエネルギーを細胞が協調して利用することで、脳や心臓、肝臓などの臓器が活動できます。

重要なポイントは、血流に乗ったこれらの物質はランダムに動いていることです。例えばパチンコでは飛び交うパチンコ玉のホンの一部がチューリップに飛び込みます。生体内における栄養の動きも同じで、偶然の出会いで細胞内にとり込まれます。

アルコール依存症の患者さんは「生あくび」をしている人が多いですが、それは脳でエネルギー不足が起きているサインでもあります。灯油がなくなる寸前の石油ストーブが不完全燃焼をおこして臭くなるように、脳もまたエネルギー不足だと正常に働けません。

3-3.アルコール依存症患者が十分に栄養をとると酔いを自覚するようになる

私の経験では、患者さんが幅広く十分に栄養をとるようになると、おおよそ10日くらいでいつもより〝少ない量″かつ〝はやく″酔いつぶれるようになります。これも脳がエネルギーを得ることで、酔いを正常に感じるようになったからでしょう。

このアプローチを続けると、酒量は確実に減るはずです。ですが、1か月たったときも「日本酒1升以上が6合まで減ったけど…」など、まだまだ酒量が十分に減っていなければそれは栄養のとり方が少ないとお考えください。

3-4.アルコール依存症の人が栄養をとり脳の働きが良くなると言動が改善する

酒量が減ってくると、それと前後して言動にも変化が表れます。嫌みな態度やしつこい言動、暴言などが少しずつですが違ってくるのがわかるはずです。「今までだったらここで怒っていた!」とか「いつもだったらもっとクドクドと…」といった違いを感じるはずです。

この変化は酒量の変化と相関関係がありますから、しっかり栄養をとって酒量が減るように心がけてください。なお、言動が柔らかくなったからといって慌ててはいけません。ここで「お酒をやめろ!」など、下手な刺激をすると「そう言われたから…」と飲む口実にされてしまいます。

酒量が減り、言動が落ち着いてくると「聞く耳」をもちはじめます。また、このとき自らの問題を認識するようになります。「飲みすぎたから調子が悪い」とか「昨日は飲みすぎたから今日は控えめにしよう」など、明らかに自分を観察する言葉がでたのなら、この時点で「専門家に相談してみたら…」など医療機関への受診を勧めてみるといいでしょう。                                                                                 

まとめ

「なにもしなかったら、なにもおこらない」-シェークスピア

アルコール依存症は患者さんだけでなく、そのご家族や親族までを巻き込む大きな問題です。シェークスピアが言ったように、なんの行動もおこさなかったら解決できる問題も解決できません。

一日もはやく問題解決ができるよう、今すぐ行動されることをお勧めします。

 

女性はアルコール依存症になりやすい?原因と対策【まとめ】

「毎朝、目が覚めるとビールの缶が散乱しています。」(30代独身女性)

「母はいつも酔いつぶれるまで飲んで、目が覚めるとまたすぐに飲みはじめます。」

「会社でも我慢できずに飲んでしまい、酒臭いと噂になり困っています。」(30代独身女性)

 世間で言われるように、女性のアルコール依存症が確かに増えているようです。そして私の経験では、そんな女性たちには髪や目、唇、爪などに特徴的な症状がありました。

 そしてこの身体的な特徴を前提にすれば、「なぜ、アルコール依存症の女性が増えているのか?」そして、「女性が男性に比べアルコール依存症になりやすい原因」が容易に想像できます。母親や奥さん、彼女など、女性のアルコール依存症でお悩みの方はお役立てください。

 1.アルコール依存症の女性に見られる特徴

私のいただいてきた相談では、アルコール依存症の女性には次のような特徴がありました。

 ・髪:抜け毛が多い、髪がパサつく、切れ毛、髪が細くなった

・目の下にクマができる

・唇:皮がムケル、荒れやすい

・サカムケ(爪の根元の皮がムケル)

・爪:割れやすい、欠ける、二枚爪、もろい、指でムシルことができる、柔らかい

 これらはみな、貧血や栄養不足が主因で起きる症状です。例えば貧血検査では血液中のヘモグロビンの濃度を測りますが、この濃度が男性で14g/dl以下、女性で12g/dl以下が貧血とされます。このように、男性に比べ、もともと貧血になりやすいのが女性です。

 とくにビールや酎ハイを何本も飲む傾向がありました。アルコールが肝臓を刺激すると、そこに蓄えられたグリコーゲンという物質がブドウ糖に変わり血糖値が上昇します。また、ビールや酎ハイ、カクテルや果樹酒、日本酒などには他と比べて糖類が多く含まれています。

 2.女性がアルコール依存症になりやすい原因                  

アルコール依存症の患者さんはみな、慢性的な栄養失調状態です。私は、この栄養失調状態がお酒をやめることのできない大きな要因になっていると考えています。 

2-1.アルコール依存症の女性は栄養失調

アルコールを分解するには多くの栄養素が使われます。また、アルコール依存症の患者さんはみな、食生活がとても貧しくなります。このふたつの事実からも、アルコール依存症の患者さんが慢性的な栄養失調状態であることは明らかでしょう。

 脳の神経細胞はもちろん、体にある60兆個もの細胞そのひとつひとつは、血液から届けられる酸素とブドウ糖、ビタミンB1をとり込んでエネルギーを作り出しています。また、そのエネルギーを使い脳や肝臓、心臓などの臓器が活動できます。

 したがって、栄養が不足すると脳や臓器などの働きが悪くなります。なお、この仕組みについては別記事「アルコール依存症は治せる|その症状から分かる原因と対策方法」で詳しくご紹介していますのでご覧ください。

 2-2.貧血の女性はさらに脳や体の働きを悪くする

すでにご紹介したように、女性は男性と比べ、もともとヘモグロビンが少ないのが一般的。このヘモグロビンはアミノ酸からつくられますから、アルコール依存症の女性はヘモグロビンの量が減ることが容易に想像できます。

 そのため、女性はカンタンに貧血が進むことになりますから、脳や体はなおさらエネルギーを作り出せなくなります。その結果、交感神経の緊張し、アドレナリン(不安・恐怖)とノルアドレナリン(怒り・イライラ)などのホルモンにより情緒が不安定になります。

 多量の飲酒は、不安定になった情緒をアルコールでマヒさせるためでもあります。

 3.女性の生理や排卵期に症状が悪化する

自律神経の中枢は脳の視床下部にあります。この視床下部はホルモンの司令塔でもあり、ここから性腺刺激ホルモン放出ホルモンを分泌することで女性の生理周期が成り立ちます。つまり、男性に比べ、女性の視床下部は仕事量が多いことが想像できます。

 しかし、ここまでの説明でお解りのように、アルコール依存症の女性は栄養不足+酸欠(貧血)によりエネルギー不足が起きています。視床下部もまたエネルギーがなければ十分に働くことができません。

 また、栄養不足が交感神経を緊張させていることも問題です。例えば、女性アスリートの多くが生理不順や無月経になることが知られていますが、交感神経の緊張は女性のホルモンバランスを崩す要因となります。

つまり、視床下部は真逆の仕事をいちどにしようとしますが、前述したようにエネルギーが足りません。そのため、脳は余力がなくなり、生理前や排卵期などの女性はなおさら情緒が不安定になり飲酒量が増える傾向があります。

 4.家庭でできる女性のアルコール依存症対策

慢性的な栄養失調状態は、体調だけでなく精神面にも大きな影響を与えることがお解りいただけたと思います。そして、栄養失調は動物にとって最大の危機であるからこそ、栄養状態が満たされるまで情緒は不安定です。これは、海外の被災地などで食糧配給があると大人の男性が女性や子供からそれを奪い取るといった映像からも明らかでしょう。

 別記事「アルコール依存症は治せる|その症状から分かる原因と対策方法」で詳しくご紹介していますが、とにかく幅広く十分に栄養をとるようにしましょう。このとき重要なポイントがあります。

 食生活レベルの改善では、アルコール依存症における栄養状態の改善はできません。また、そもそもアルコールによりダメージを受けた消化器は、食事をとっても十分な消化吸収力がありません。

 まずは、アルコール依存症と分子栄養学に詳しい医師や薬剤師のアドバイスの元、サプリメントを利用して栄養を補うようにしましょう。

 まとめ

女性のアルコール依存症は、その多くが食生活にあると私は考えています。とくに親元を離れた自炊生活では、コンビニのサンドウィッチやお菓子などで昼食をすませるといった話はよく耳にします。また、一人暮らしで夕食もお弁当などですませているケースも少なくありません。

 

こういった食生活が徐々に栄養状態を悪化させ、そこにお酒の席が用意されるとその栄養状態がさらに悪化する。この悪循環が、あっという間に女性をアルコール依存症に招いてしまうのだと私は考えています。

 
本サイトは私の実務経験に基づいた考察をご紹介しています。また、解説する病気の症状は典型的なものを紹介しています。記載された症状がその病気をもつすべての方に当てはまるわけではありません。治療法その他についても、あくまでも自分でできうる対処と医療における代表的なもののみを掲載しており、治療法すべてを網羅するものではありません。病気の診断および治療に関しては、必ず医師による説明を受けるようにしてください。 

アルコール依存症患者に対する家族の接し方と対応【まとめ】

「人様にケガをさせる前に夫が死んでくれたらと…」

 ポツリとそう口にされたのは、ある40代の主婦でした。ご主人はお酒を飲んでも車を運転するだけでなく、車の中にもお酒を常備するほどのアルコール依存症。奥さんは現場を確認していないものの、「おそらく運転中にもお酒を飲んでいると思います。」とお話されました。

 「毎日、もう数年以上、主人が帰宅するまで事故を起こすのではないかと、誰かにケガをさせるのではないかと思うと苦しくて切なくて…。できればひとりで事故を起こして死んでくれたほうが…と思っています。」

 そんなご主人でしたが、幸いなことに運転中の飲酒はもちろん、家庭でも休肝日をつくるほど酒量を激減することができたそうです。それまで、「あ~言えばこう言う」といった人の上げ足をとるような口癖や暴言、暴れることもなくなりました。

 さて、このご主人にいったい何が起きたのか?ご家族のアルコール依存症でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

 1.アルコール依存症患者は家族ともコミュニケーションがとれない人たち

些細なことに反応し、グチグチと小言を言う。

他人やテレビのコメント、政治などの批判が多い。

 アルコール依存症の患者さんは一方通行の主張ばかりで、会話のキャッチボールができません。コミュニケーションがとれませんから、ご家族は次のような問題に頭を抱えていらっしゃることでしょう。

 1-1.アルコール依存症の人は家族がお酒をたしなめると屁理屈を返す

「俺の金で飲んでいるのに文句を言われる筋合いはない!」

「酒がまずくなる!」

「お前たちになんの迷惑もかけたと言うんだ…」

 患者さんに対し飲酒をたしなめると、こういった屁理屈が当たり前のように返ってきます。そして困ったことに、家族がお酒をたしなめると患者さんの飲酒量が増えます。つまり、飲酒をたしなめればたしなめるほど、飲酒の口実にされてしまいます。

 1-2.アルコール依存症の人は家族が勧めても医療機関の受診を拒否する

「いよいよアル中だ。これは病院に連れていくしかない…」

 ご家族がそう思ったとしても、患者さんはアルコール依存症を認めるケースはごくマレなこと。ほとんどすべての患者さんは自分の症状を認めることなく、医療機関の受診を拒否するのがふつうです。そのため、ご家族は「どうしたらいいのか?」途方に暮れているというのが現状でしょう。

 2.アルコール依存症の患者さんとその家族も精神的に病んでいる

「お酒さえやめてくれれば…」

アルコール依存症が進行すると、患者さんの言動にどんどん問題が増えてきます。そのため、どの家族もお酒を隠したり捨てたりといった行動にでます。しかし、それでも患者さんはお酒をやめることはできません。すると、患者さんは外でもトラブルを起こすようになります。

 ・会社で酒を飲むようになり、仕事のミスや遅刻、欠勤が増える

・会社でパワハラやモラハラ行為

・地域の集会でトラブルを起こす

 家族はそういった本人のトラブルの後始末に追われ、どんどん精神的に病んでしまいます。また、本人が仕事をしなくなったり辞めてしまうこともありますので、経済的な困窮もご家族を追い詰めることになります。

 ですが、ご家族が精神的に病んでいたら問題解決に対し適切な対処ができません。ご家族のあなたも、自分をとり戻すために。そして患者さんの回復のため、以下でご紹介する患者さんへのアプローチと同じことをお試しください。

 3.アルコール依存症患者への家族の対応と接し方

ここまでのことから、ほとんどのご家庭では途方に暮れていらっしゃることでしょう。ですが、ご家族だからできることがあります。なぜなら、アルコール依存症の患者さんはみな、極度の栄養失調が続いているからです。(詳しくは別記事、「アルコール依存症は治せる|その症状から分かる原因と対策方法」 をご覧ください。)

 3-1.家族の対応と接し方その1.十分に栄養をとらせる

ビールの注ビン1本。たったこれだけの量で、肝臓はおおよそ3時間働かなければなりません。アルコールの解毒にはそれほど時間がかかりますから、ほとんどの患者さんは24時間365日、肝臓がアルコールの処理にフル稼働していることでしょう。このとき、肝臓は大量の栄養を消費することになります。

 一方で、患者さんの食生活はとても貧しいものになります。食事が偏りますし、なかにはコンビニ弁当やカップラーメンなど、インスタント食品ばかり食べる患者さんも少なくありません。つまり、とれる栄養が不足した上で消費する栄養は増えます。したがって、アルコール依存症患者さんはみな、例外なく慢性的な栄養失調状態です。

 先ほどご紹介した別記事でお解りのように、栄養不足は情緒を不安定にします。そしてこれが、お酒を飲んでしまう一因になります。誰もが情緒が不安定な状態はイヤなものです。お酒はそれを一時的にマヒできます。また、情緒が不安定だとお酒に酔いにくくなりますから、どうしても飲み過ぎてしまうことになります。

 こういったことから、まずはサプリメントなどでアミノ酸やビタミン、ミネラルなど幅広く十分に栄養をとらせてあげましょう。なお、アルコール依存症と分子栄養学に詳しい医師や薬剤師の指導のもと、サプリメントを選ぶようにしてください。

 3-2.家族の対応と接し方その2. 飲酒量を観察する

「あれ、いつもより少ないお酒で酔いつぶれている…」

おおよそ2~3週間。私のいただいてきた相談では、十分に栄養がとれるようになると患者さんの酒量が減りはじめます。栄養がとれるようになると「酔える」ようになり、余分にお酒が飲めなくなります。

 こういった姿が観察できたら、酒量が少しずつ減ることがほとんどです。また、今までなら休日昼間から飲んでいたのなら、それをやめて夜だけ飲んでいるなど、飲酒の時間にメリハリがでてくるようになります。もちろん、その日の体調によりますが、一般的にこういった流れで飲酒量が減っていくことがほとんどです。

 3-3. 家族の対応と接し方その3.言動の変化を観察する

「あれ、今までだったらグチグチと長々と屁理屈が続いたけど…」

「いつもだったら、ここで怒ったはずなのに…」

 今までよりはやく酔いつぶれたり飲酒量が減ることと前後して、患者さんの言動に少しずつ変化が現れます。一般的には暴言を口にする時間が短くなったり、今までなら怒っていたことで怒らなくなったりと、暴言や怒りで反応する閾値に変化がみられるようになります。

 こういった変化が見られたとき、焦って「お酒をやめなさい!」とか「病院に行って!」みたいなことを堰かないように注意が必要です。こういったことを口にするのは、患者さんが「聞く耳」をもったとき。コミュニケーションがとれるようになるまで待ちましょう。

 3-4.家族の対応と接し方その4.医療機関の受診を勧める

ある程度会話のキャッチボールがでるようになったとき、本人が「酒を飲みすぎた!」とか「二日酔いだ!」みたいな話をしはじめたなら、医療機関への受診を勧めてもいいでしょう。

 ですが、栄養の摂取は続けてください。長年にわたる栄養不良は脳に限らず、体中にダメージがあります。例えば赤血球は、新陳代謝によりすべて入れ替わるのにおおよそ120日かかります。脳や臓器は、そういったしっかりした血液が酸素や栄養を運ぶことで正常な新陳代謝が行われます。

 そういった意味でも、アルコール依存症と分子栄養学に詳しい医療機関の受診をお勧めします。

 まとめ

アルコール依存症は患者さんのみならず、家族の心も蝕みます。ですが心配はいりません。このアプローチで患者さんが良い方向に変わっていったのなら、ご家族のあなたもまた同じアプローチを実行すればいいのですから。

 くり返しますが、ほとんどのご家族は打ち手がないと出口のない迷路をさまよう毎日を送っていらっしゃることでしょう。ならば騙されたと思って、ぜひこのアプローチを実行してみてください。きっと元気になります。

 
本サイトは私の実務経験に基づいた考察をご紹介しています。また、解説する病気の症状は典型的なものを紹介しています。記載された症状がその病気をもつすべての方に当てはまるわけではありません。治療法その他についても、あくまでも自分でできうる対処と医療における代表的なもののみを掲載しており、治療法すべてを網羅するものではありません。病気の診断および治療に関しては、必ず医師による説明を受けるようにしてください。 

飲み続けると縮小する可能性も?アルコール依存症における脳への影響

性格が悪い。
家族とのコミュニケーションも怒鳴り散らすので成り立たない。
お酒がなかったり気に入らないことがあると暴れる。

コミュニケーションはキャッチボールに例えられます。ボールを受けとったら相手がとりやすいようにボールを投げ返す。これが健全なコミュニケーションですが、アルコール依存症の方はそれができません。

ボールが投げられてもそれをわざと受けとらなかったり、受けとっても遠くに投げ返したりする。また、サッカーボールを強く蹴り返すこともしばしばです。このように、アルコール依存症になると精神にさまざまな影響が現れることは広く知られています。

その一方で、アルコール依存症が脳に与える影響はあまり知られていないようです。認知症やうつ病など、アルコール依存症が脳に与えるリスク要因であることを説明していきますのでお役立てください。

1.アルコールで脳はマヒする

「飲んだら途中から記憶がなくて、何かしでかしたのか心配!」
「どうやって帰ってきたのか?まったく記憶がない。」

私に限らず、お酒を飲み過ぎてこんな経験をした人は少なくないでしょう。このように、アルコールにより脳がマヒすると問題がおきますが、その中でも顕著に現れる特徴を三つご紹介しますので、それぞれご説明しましょう。

1.理性が働かなくなる

2.平衡感覚や運動機能が低下する

3. 記憶ができなくなる

1-1.アルコールが脳に与える影響その1. 理性が働かなくなる

「あいつ(例えば上司)はいつも偉そうで気に入らない!」
「まだできないのか?って聞くなら自分でやれっていいたくなるよ…」
「大きな声では言えないが、あいつは…」

アルコールでマヒする部位のひとつが前頭葉、思考や自発性(やる気)、理性などの働きを司っています。ここがマヒすると理性的な働きが失われますから、ガマンがきかなくなります。

そのため、「口がすべる」と言いますが、ついつい秘密にしていた上司や部下への不満などから、不平不満や悪口、暴言がとどめなく発せられることになります。

1-2. アルコールが脳に与える影響その2.  平衡感覚や運動機能が低下する

「てめ~ぶつかってきただろ!」
「なんだその目は…」

酔っぱらいは理性のタガがはずれています。ですから、夜の繁華街などは最悪です。酔っぱらい同士、少し肩が触れただけでケンカになったりしますから一緒にいる人はとても疲れます。

そんな酔っぱらいたちは、あっちにヨロヨロこっちにヨロヨロ、人や物にぶつかったりつまづいたりしますが、これは小脳がマヒしたからです。

小脳は平衡感覚や運動機能などを統合していますから、その機能が低下すればするほど動作はどんどん鈍くなります。そのため、歩行が危なっかしくなったりします。また、お酌をしてくれるのはいいのですが、コップからダバダバこぼれても制御できなかったりするのも同じ理由です。

1-3.アルコールが脳に与える影響その3.  記憶ができなくなる

「昨日の飲み会、途中から記憶がない。何かやらかしてはいないだろうか…?」
「どうやって帰ってきたのか記憶がないぞ…」

私も含め、そんな経験をしたという覚えのある方は少なくないでしょう。そしてこれは、アルコールにより海馬がマヒしたことが原因です。海馬は短期記憶を残す働きをしますから、ここがマヒすると「何をしたのか?」記憶がセーブできなくなります。だからこそ、酔っぱらいは同じ話を何度も繰り返したりします。

では、なぜ記憶もないのに帰宅することができるのか?というと、それは長期記憶が大脳皮質に保存されているからです。電車やバス、車、徒歩など、自宅までのさまざまなアクセス方法やルートは長期記憶として深く大脳皮質に保存されています。

酔っぱらっていても、この情報が利用できるから帰宅できるわけですが、海馬がマヒして短期記憶がありませんから「どうやって帰ったのか記憶がない」ということになります。ただし、出張先のホテルなどに宿泊時は長期記憶がありませんから、こんなときは「道に転がって寝ていた」ということになりかねませんので注意をしてください。

2.アルコール依存症が脳に与える影響

・前頭葉がマヒすると、理性が働かなくなる
・小脳がマヒすると、平衡感覚や運動機能が低下する
・海馬がマヒすると、記憶ができなくなる

こういった問題が断続的に続くのがアルコール依存症ですから、暴言や物にあたるなど支離滅裂なコミュニケーションに終始するのは当然のことでしょう。何しろ、ほとんど何を言ったのか?したのか記憶がないのですから。

しかし、一時的な酔っぱらい状態とは違い、アルコール依存症では脳の萎縮や、うつ病や認知症のリスクが高まることが知られています。その理由は次のように考えられます。

2-1.脳への影響その1.脳の萎縮はアミノ酸などの栄養不足

脳には千数百億もの神経細胞があり、自発的に活動を続け神経細胞のネットワークを構築し続けています。しかし、これら神経細胞の活動は、グリア細胞の助けなしには成り立ちません。グリア細胞が神経細胞に酸素やブドウ糖、栄養を与えることではじめて、神経細胞の活動は保証されることになります。

このグリア細胞は、神経細胞のおおよそ10倍もの数で存在しています。このことから、脳の働きにとって栄養がいかに重要なものであるのか想像できると思います。そして脳が委縮するのは、栄養不足により神経細胞やそのネットワークが死滅することが原因です。

2-2.脳への影響その2. 栄養不足は脳の出力を低下させる

体には60兆個もの細胞がありますが、このひとつひとつの細胞内でエネルギーを作り出しています。臓器などの組織は、これら細胞のエネルギーで協調作業をすることで活動できます。このとき、栄養がとても重要な働きをします。

体には常に血液が流れていますが、この血液には酸素やブドウ糖、アミノ酸やビタミンなどさまざまな栄養素が溶け込んでいます。これらがパチンコで玉がチューリップに飛び込むのと同じように、ランダムに細胞にたどり着いてとり込まれます。

細胞は、この酸素とブドウ糖、ビタミンB群とくにビタミンB1があってはじめてエネルギーを作り出すことができます。これは脳も例外ではありませんから、もし栄養が不足すれば灯油がきれた石油ストーブのように十分な働きができなくなります。

2-3.脳への影響その3. 危険なときは動物の脳が優先される

脳は、その働きから大きくふたつに分けられます。

・大脳新皮質(人の脳):知性・理性の働き
・大脳辺縁系(動物の脳):命と直結する働き

こういった働きがありますから、危険なときに活躍するのが動物の脳。例えば、「ヘビだ!」というとき、一瞬ですが私たちは我を忘れます。また、大きな音がしたときもそれは同じです。このことから、動物の脳が強く働いたとき人の脳の働きは奪われることがわかります。

栄養不足も同じです。栄養不足は動物にとって最大の危機。したがって、このとき動物の脳が強く働くことになります。また、その指令が交感神経を介して体に送られ、副腎からアドレナリン(不安・恐怖)とノルアドレナリン(怒り・イライラ)が分泌されます。

これらのホルモンが情緒を不安定にしますから、断酒をして「強い不安」を覚える根本的な原因は栄養不足にあると考えられます。

3.アルコール依存症でうつや認知症になるのは?

交感神経の緊張が強ければ強いほど、副腎から分泌されるアドレナリンの量が増えます。したがって、不安や恐怖の感情が強くなります。また、前述したように、交感神経は動物の脳にありますから、ここが強く緊張すると人の脳の働きが悪くなります。

高所恐怖症の人がスカイツリーに上ると我を見失うように、アドレナリンが強く分泌されれば恐怖に我を忘れてうつになります。また、人前に出ると緊張したとき話がシドロモドロになるように、動物の脳が強く働き人の脳の働きが悪くなれば認知機能が低下するのは自然なことでしょう。

4.家庭でできるアルコール依存症対策

「断酒のために病院に行こう!」
そう言っても、聞き入れてくれる患者さんはごく一部ですから、途方に暮れているご家族の方がほとんどでしょう。ですが、そんなご家庭でも、まずは患者さんに十分な栄養をとらせてください。そして、その後の様子を観察してみましょう。

摂らなければいけない栄養は、あれとこれといった部分ではありません。アミノ酸やビタミン、ミネラルなど、幅広く十分な栄養をとることです。ただし、患者さんの胃腸の働きは悪くなっていますし、そもそも食事をしっかりとることなどありませんから、食事レベルではなくサプリメントを利用することをお勧めします。

なお、サプリメントは自己判断ではなく、アルコール依存症と分子栄養学に詳しい医師や薬剤師のアドバイスの下で利用しましょう。また、サプリメントを飲んでとわたしても、それを拒否する患者さんがほとんどですから、食事などに混ぜて利用できるものがよりベターです。

まとめ

アルコール依存による人格・理性の崩壊に目を奪われ、患者さんが極度の栄養失調であることが見えなくなっている。この事実を見過ごしているからこそ、私はアルコール依存症の問題解決ができないのだと考えています。

逆に、「栄養失調が人の人格は思考を蝕むことになる」という事実を前提に、ぜひ、今すぐ行動してあげましょう。栄養をとらせることにメリットこそあれ、デメリットはありません。そして栄養をとらせたら言動や酒量にどのような変化が起きるのか?観察してください。

きっと、驚かれると思います。

 
本サイトは私の実務経験に基づいた考察をご紹介しています。また、解説する病気の症状は典型的なものを紹介しています。記載された症状がその病気をもつすべての方に当てはまるわけではありません。治療法その他についても、あくまでも自分でできうる対処と医療における代表的なもののみを掲載しており、治療法すべてを網羅するものではありません。病気の診断および治療に関しては、必ず医師による説明を受けるようにしてください。 

 

知らなかったでは済まされない!アルコール依存症の離脱症状について

「手が震えてしまう…」
「まったく眠れない…」
「吐き気がひどくて…」

アルコール依存症の患者さんが断酒をすると、離脱症候群(以下、離脱症状)というとても不快なさまざまな症状を經驗します。手の震えは、俗に「アル中の禁断症状」と呼ばれたものですが、離脱症状は不眠や吐き気など人によりさまざまな苦痛として体に表現されます。

実は、断酒をするずっと以前から、ほとんどのアルコール依存症の方がこの不快症状を経験しています。例えば前の晩にお酒を飲み、仕事中にアルコールがきれてきたときこれらの不快症状が現れます。

それが苦痛であり、お酒を飲めばその苦痛が消えるためにますますお酒を飲む。こんな負のスパイラスが繰り返されるため、患者さんはさらにアルコール依存することになります。また、それがアルコール依存症をさらに進行させることは、私が指摘するまでもないでしょう。

こういったことから、アルコール依存症の治療において離脱症状についての正しい理解はとても重要であることがご理解いただけることでしょう。ぜひ、この記事をお役立てください。

1.アルコール依存症の離脱症状とは?

健康な方はお酒を飲んだ翌朝、お酒が残っているとダルさや吐き気などが起こります。一方で、アルコール依存症の患者さんはアルコール濃度が下がると手の震えや吐き気、幻覚等の症状が現れます。

これら自律神経症状を離脱症状と呼びますが、離脱症状は「早期離脱症状」「後期離脱症状」と大きく分けて2つにわけることが出来ます。

1-1.早期離脱症状

お酒を飲んでわずか数時間。アルコールの血中濃度が低くなっただけで現れるのが早期離脱症状で、次のような自律神経症状や情緒障害(精神状態が不安定)が起こります。

・自律神経症状:手や体の震え、発汗(特に寝汗)、不眠、吐き気、嘔吐、血圧の上昇、不整脈など
・情緒障害:イライラ、不安感、集中力の低下、幻覚(虫の幻など)、幻聴など

これらの症状には個人差があります。例えば手の震えですが、はっきりと手が震えてしまう
人もいますし、何もしていないときは気づかずコップのようなものをもった時に震えがわ
かる人もいます。これは他の自律神経症状や情緒面でも同じです。

1-2.後期離脱症状

後期離脱症状。といっても、こちらも断酒後わずか2~3日で現れます。また、後期離脱症状も自律神経症状と情緒障害が起こります。

・幻視:現実にはないもの(見えるはずのないもの)が見える
・見当識障害:自分がいる場所や時間がわからなくなる
・異常興奮
・発熱や発汗(寝汗をふくめ)、体の震え

後期離脱症状もまた、前期離脱症状と同じように個人差があります。なかには「虫が体を這いまわっている」とか「人がいて話しかけられた」など、幻視と幻覚が入り混じったようなせん妄と呼ばれる症状が出るケースもあります。

2.アルコール依存症の離脱症状がおきる理由

私たちの体では、アミノ酸やビタミン、ミネラル、酵素などを利用し、さまざまな化学反応が断続的に起きています。重要なのは、私たちの体の化学反応が、これらの栄養素が〝すべて″かつ〝十分″にあってはじめて正常に機能するという事実です。これを前提に読み進めてください。

2-1.離脱症状がおきる理由その1.お酒を飲み続けると耐性ができる

はじめは少ししか飲めなかったお酒も、付き合いを重ねるうちどんどん飲めるようになった。そんな経験をした人は少なくないでしょう。これは、アルコールを体内で処理するシステムがつくられたことが理由です。

体は異物の処理を最優先します。アルコールはもちろんですが、その代謝産物であるアセトアルデヒドは体にとって猛毒です。そのため、体はそれを排泄するシステムをどんどん強化します。その結果、お酒に強くなります。そしてこれを耐性がついたと呼びます。

2-2.離脱症状がおきる理由その2.  耐性ができると、血中アルコールははやく処理される

アルコールに耐性ができると、アルコールを代謝する速度がはやくなります。そしてアルコール依存症では、常に血液中のアルコール濃度が高くなりますから体はその処理をできる限りはやく処理しようとします。そして、これが体にとってふつうの状態となります。
このとき、お酒を飲むことをやめたとしましょう。しかし、体はアルコールの処理を最高速で続けますから、短時間で血中アルコール濃度が下がります。アルコール濃度が高い状態がふつうになっていた体にとって、これは違和感となります。そしてこれは、飛行機で考えるとよくわかります。

飛行機は高度1万メートル以上を飛んでいます。このときがアルコール依存状態で、血液中にはたっぷりとアルコールがあります。そんなとき、低気圧などで気流が乱れ突然、ジェットコースターが落ちるようにフワッと高度が落ちることがあります。

同じように、血中のアルコール濃度が急に下がると、脳や自律神経も違和感を感じます。また、脳はその情報を前提に体に指令を送りますが、このときある重大な問題が生じます。

2-3.離脱症状がおきる理由その3.  ガス欠になれば体は正常に動けない

大気が乱れ、飛行機がフワッと高度が落ちたとしてもジェットエンジンの力で通常の飛行状態に回復できます。しかし、アルコール濃度が下がったとき、脳や体は正常に運転できなくなっています。なぜなら、アルコール依存症の方はみな、極度の栄養失調だからです。

体には60兆個もの細胞がありますが、これらひとつひとつは血液中から酸素やブドウ糖、ビタミンB群などを利用してエネルギーを作り出しています。また、組織の修復や神経の働き、脳の活動にはアミノ酸やビタミン、ミネラル、酵素などが必要です。

ガス欠の飛行機は飛べません。また、灯油がなくなる寸前の石油ストーブは不完全燃焼を起こします。同じように、慢性的な栄養失調であるアルコール依存症の患者さんが断酒をしたとしても、ガス欠で脳や体は正常に動けません。離脱症状の原因のひとつは、この慢性的な栄養失調にあると考えられます。

3.アルコール依存症の人が断酒をするときの対策

アルコール依存症の患者さんが断酒をするとき、とくに早期離脱症状は強い苦痛を伴います。また、断酒を続けることができない主な原因もこの早期離脱症状にありますから、医療機関など専門家とご家族が連携して対処することが重要です。

3-1.対策その1.医療機関を受診する

早期離脱症状は断酒をして数時間からはじまり、おおよそ3日くらいで治まります。このとき、強い不安や激しい発汗があるのなら、せん妄に備えるため、安全が確保できるよう医療機関の受診が必要です。

せん妄は後期離脱症状で怒りますが、軽い意識障害とともに強い不安感や幻覚などが起こるため、精神的にとても不安定となります。

せん妄はすべての患者さんに起きるわけではありません。しかし、前述したように強い不安や発汗など、体力の消耗がはげしいケースで備えが必要です。本人の安全が担保できるよう精神科などで隔離が必要となるケースもあります。

3-2.対策その2.十分な栄養をとる

正常な体の代謝には栄養が必要不可欠です。例えば、血液は約120日、骨は90~120日で生まれ変わりますが、これもアミノ酸やビタミン、ミネラル、酵素などの栄養素が十分にあってこそのこと。アルコール依存症では、それが正常に行われた可能性はゼロです。

身体のダメージがひどいケースはもちろん、断酒前の飲酒量が多かったときや長期にわたる飲酒が続いていたのなら極度の栄養失調です。できるだけ幅広く十分な栄養をとることが、アルコールのダメージから体と心を回復させるための最善の手段となります。

まとめ

アルコール依存症における離脱症状が、断酒を妨げるもっとも大きな原因です。それほど、離脱症状は患者さんにとって苦痛なのです。また、迎え酒をすることでも離脱症状は消えます。だからこそ、断酒が難しくなります。

アルコールを飲んで離脱症状を抑えている。この堂々巡りが、アルコール依存症の患者さんが断酒できない最大の原因といっていいでしょう。

ぜひ、そんな患者さんに十分な栄養をとらせてあげましょう。このアプローチはメリットこそあれ、デメリットはありません。その結果、何が起きるのか?きっと、驚かれるはずです。

 

 
本サイトは私の実務経験に基づいた考察をご紹介しています。また、解説する病気の症状は典型的なものを紹介しています。記載された症状がその病気をもつすべての方に当てはまるわけではありません。治療法その他についても、あくまでも自分でできうる対処と医療における代表的なもののみを掲載しており、治療法すべてを網羅するものではありません。病気の診断および治療に関しては、必ず医師による説明を受けるようにしてください。 

アルコール依存症は治せる|その症状から分かる原因と対策方法

・暇さえあればお酒を飲んでいる
・気分の浮き沈みが激しい
・暴言がひどく、まともなコミュニケーションがとれない

 アルコール依存症になると程度の差こそあれ、ほぼすべての方にこういった問題が現れます。そんな姿を見て心配したご家族が行動をおこしても、次のようなケースになることがほとんどです。

・病院に連れて行こうとすれば怒りだします
・お酒を取り上げれば、何をしてくるかわかりません

 このように、アルコール依存症になると、いつしかコミュニケーションがとれないほど心身が蝕まれていくことになります。よくないことだとわかっていても、脳の働きがおかしくなり飲むことをやめれなくなります

 アルコール依存症は、患者さんの意思が弱いから起きるものではありません。アルコール依存症の症状から、その原因と対策がご理解いただけますのでこの記事をお役立てください。

 1.アルコール依存症の症状

習慣的な飲酒により、静かに静かに、自分でも気づかないうちに進行し、いつしかお酒を飲まずにはいられなくなるのがアルコール依存症です。おおよそ、その症状は次のように進行していきます。

 1-1.アルコール依存症になるとアルコールに強くなる(耐性ができる)

ほとんど飲めなかったお酒も、接待など付き合いを重ねるうちに強くなった。そんな経験や話を聞いたことのある方は少なくないでしょう。このように、お酒を飲む機会が増えると、基本的にお酒が強くなります。これはアルコールの代謝経路が強化されるからです。

 アルコールは肝臓で解毒分解されますが、飲む機会を重ねるうちにこの代謝経路で使われる酵素などをあらかじめ準備するようになります。その結果、少しずつですがお酒に酔いにくく(強く)なります。

 1-2.アルコール依存症になると飲み過ぎてしまう

「昨日の飲み会、まったく記憶がない…」

「どうやって帰ってきたんだろう…」

 お酒が強くなると、飲み会などでついつい酒量が増えます。ですが、日本人の約半数はもともとアルコールを代謝する酵素をほとんどもっていません。そのため、いくら強くなったといっても限界があり、アルコールによる脳のマヒが起こります。

 そのひとつが海馬で、ここがマヒすると短期の記憶が残らなくなります。そのため、飲み会や帰宅の様子を思い出せません。これがブラックアウト(記憶の欠落)です。このブラックアウトが頻繁になると、いよいよアルコール依存症予備軍になります。

 1-3.飲まないと離脱症状があらわれる

アルコール依存症になると、次のような心身の異常を自覚するようになります。

・酒がないと眠れない
・酒が切れると寝汗・微熱・悪寒などを自覚する(ただし本人は風邪や体調不良と思い込む)
・飲まないと落ち着かなくなったりイライラする
・遅刻や欠勤(体調不良も含め)、仕事上のミスなどがでてくる
・寝ていて途中で目が覚めると酒を飲んでしまう

 このような問題が起きるとき、アルコールによる前頭葉のマヒの影響が顕著になります。前頭葉は人としての理性的は働きを司りますから、ここがマヒすることで暴言など正常なコミュニケーションがとれなくなり、飲酒運転などの問題行動が表面化します。

 2.アルコール依存症の原因

アルコールの代謝は肝臓で行われますが、その解毒には大量の栄養素が消費されます。事実、平均的な人(体重60kgの男性)では 、1単位(ビール中びん1本、日本酒1合、焼酎0.6合)のアルコールが体内から消えるまでに約3時間かかります。(個人差があります)

 

酒の種類

解毒にかかる時間

1単位

(右のいずれかで1単位)

ビール中びん1本

日本酒1合

焼酎0.6合

 

約3時間

 2単位で約6~7時間、3単位で約9~10時間かかることになります。(あくまでも個人差があります)

 2-1.アルコール依存症の原因その1.アルコール依存症は慢性的な栄養失調

日本酒3合もしくは焼酎を約2合。たったこれだけのお酒ですら、その解毒に9~10時間かかります。つまりこれ以上の飲酒を続けたら、肝臓は睡眠中にフル稼働をすることになります。そしてこのとき大量の栄養素が使われた上、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドにより組織は傷つけられることになります。

2-1-1.アルコールを解毒するとき栄養を吸収しにくくなる

体は正常な代謝をなによりも優先します。したがって、異物が侵入するとその排除を優先し、他の作業、例えば食べ物の消化吸収も後回しにします。飲酒時も同じで、このとき体はアルコールの解毒を優先します。一方で、お酒を飲むとビタミンAやB群などの吸収は阻害されます。

 よく「お酒を飲む前に良質なたんぱく質をとりなさい!」と言われますが、これは上記のようなことが理由です。

 2-1-2.アルコールの解毒には大量の栄養素が使われる

アルコールの解毒には多種多様な栄養素が大量に消費されます。例えば、わかっているだけで少なくとも次のような代謝に栄養素が使われます。

 ・アルコールを分解する酵素を作り出すのに必要とされる栄養素
・アルコールやアセトアルデヒドにより傷ついた肝臓や組織の修復に使われる栄養素
・アセトアルデヒドを解毒するのに必要な栄養素

 また、アルコールには利尿作用がありますから、飲酒時にはカルシウムやナトリウム、亜鉛などのミネラルが必要以上に排泄されることになります。

 くり返しますが、ビールなどお酒を先に飲むと食事からの栄養素の吸収は妨げられることになります。しかし、アルコールの解毒には大量の栄養素が必要なうえ、利尿作用により栄養素の排泄も必要以上におこります。

 こういったことから、アルコール依存症の人はみな、慢性的かつ極度の栄養失調状態であることがご理解いただけたことでしょう。

 2-2.アルコール依存症の原因その2.栄養失調になると交感神経が緊張する

アルコール依存症になると眠れないとか、寝汗・微熱・悪寒などの体調不良はもちろん、飲まないと落ち着かなくなったりイライラするといった精神症状が現れます。私はこれら離脱症状の原因はみな自律神経の乱れにあると考えています。なぜなら、栄養不足は動物にとって本能的な危機だからです。

食欲とは、単に腹を満たすことではありません。「必要な栄養をすべてとれ!」という本能の叫びです。したがって、たったひとつでも栄養が不足すれば、その情報を脳が感知し交感神経を介して体に「狩りをしろ!」という指令を下します。

 交感神経は活動の神経ですから、筋肉に血液が送られることになります。また、アルコール依存症では〝栄養不足が解消されるまで″この状態が続くことになりますから、結果として体にはコリが生じて「あたかも風邪をひいている」かのような体調不良を自覚するようになります。

 2-3.アルコール依存症の原因その3.交感神経の緊張が続くと情緒が不安定になる

交感神経は活動の神経ですから、闘争時に働く神経でもあります。交感神経が働き筋肉優先で血液が送られるのは、いつでも戦えるように。また、いつでも逃げることができるようにする体の備えです。そしてこのとき、交感神経の指令で副腎からふたつのホルモンが分泌されます。

 ・アドレナリン:不安・恐怖
・ノルアドレナリン:怒り・イライラ

 アルコール依存症では、これらのホルモンが常に分泌されていますから、落ち着きがなくなったりイライラする。仕事に対する意欲がなくなり注意力が散漫になるのはとても自然なことだったのです。

 2-4.アルコール依存症の原因その4.お酒がきれると不安感が強くなりお酒に逃げる(飲んでしまう)

今までのことでお解りのように、アルコール依存症の患者さんはみな慢性的な栄養失調です。そしてそのため、交感神経が緊張しアドレナリンやノルアドレナリンが大量に分泌されています。だからこそ、依存症の方はお酒を飲んでしまいます。

 お酒がきれると前頭葉の働きが回復します。このとき、これらホルモンによる不安や恐怖、イライラといった感情を強く自覚します。また、自律神経を介した寝汗や発汗、胃腸の不快症状なども表出することになります。これら精神面・体調面の不調は耐え難いほど強いため、少しお酒がきれただけで飲酒に走ることになります。

 3.家庭でできるアルコール依存症対策

アルコール依存症は断酒によってしか問題は解決されないとされています。そのため、自ら治療に通うごく一部の患者さんを除き、ほとんどの患者さんは毎日、浴びるようにお酒を飲み続けているのが現状でしょう。

 しかし、ここまでの説明でお解りのように、アルコール依存症は「栄養失調→交感神経緊張→情緒が混乱→お酒に逃げる→さらに栄養失調・・・・・」という負のスパイラルに陥っているのがアルコール依存症の患者さんです。

 ならば、このスパイラスの流れを止めてあげましょう。私の経験では、この対策がしっかりと実行できれば酒量が減り、正常なコミュニケーションがとれるようになった方がほとんどです。

 3-1.アルコール依存症対策その1.幅広い栄養を大量に補う

すでにご説明したように、アルコール依存症は極度の栄養失調状態です。アルコールおよびアルコールの分解でできるアセトアルデヒドという毒物の代謝には、大量の栄養素が消費されます。

 アルコールの分解に利用される酵素は、タウリンやL-システインなどのアミノ酸を中心に多くのビタミンやミネラルが必要です。また、アルコールやアセトアルデヒドで傷ついた肝臓や組織の修復にも、アミノ酸を中心にビタミンやミネラルが必要となります。

 こういったことから、必須アミノ酸を中心にビタミンB群、C、Aなどのビタミン類、マグネシウムやカルシウム、亜鉛などのミネラルを幅広くかつ十分にとるようにしましょう。

 なお、これらの栄養を食事で補えるなどとはお考えにならないでください。アルコール依存症や分子栄養学に詳しい医師や薬剤師に相談の上、サプリメントなどを利用するようにしましょう。

 3-2.アルコール依存症対策その2.」飲酒量や言動の変化を観察する

十分な栄養をサプリメントで補うと、一般に1週間もすると言動に変化が現れます。例えば、1升飲んでいたお酒の量が5合くらいで寝てしまっているなど、今までより少ないお酒で酔いつぶれるようになります。

 それとともに暴言を口にする時間が短くなったり、暴言の内容が改善します。また、車の運転前など、日中の飲酒を自らコントロールしようという意思が見え隠れするようになります。もちろん、前向きな言動が口から発せられることもあるでしょう。

 栄養不足が改善されればされるほど、飲酒量はもちろん言動の改善が観察できます。まずは患者さん自身に「聞く耳」が出てくるまで、このアプローチを続けてください。

 3-3.アルコール依存症対策その3.聞く耳がでてきたら体調不良を改善する

患者さんに「聞く耳」が出てきた後も、しっかりと観察してみましょう。個人差はありますが、栄養をとるというアプローチのみで酒量が適正になり問題解決しているケースも少なくありません。

 一方で、まだ問題が残っているのならここでふたつの選択肢があります。ひとつは、このタイミングで医療機関への通院をはじめることです。本人も自分の問題を自覚していますから、「聞く耳」をもったのなら前向きに考えてくれることでしょう。

 このケースでもし通院を拒否したのなら、体調へのアプローチを実行してあげましょう。アルコール依存症患者さんの体調を細かく調べると、頭痛や肩・首・背中のコリ、胃もたれや吐き気、腹部膨満感などさまざまな不調を抱えています。

 こういった体調不良について、私は漢方という手立てで実績をあげています。また、私のそんな経験から、理屈上は鍼灸や整体、カイロプラクティックなどでも効果が上がるはずだと確信しています。ぜひ、体の不調を改善するというアプローチも実行してあげましょう。

 まとめ

アルコール依存症の症状は、そのほとんどは栄養不足が原因です。また、栄養不足による交感神経緊張により情緒が乱れ、それから逃げるために大量の飲酒をしてしまう。そんな負のスパイラルが続くため、本人も我を失い暴言をはじめとしたさまざまな人格的な問題につながります。

 「1滴でもアルコールを飲んではいけない!」

 そんな常識に囚われ、ほとんどのご家族が霧の中をさまよう毎日を過ごしていらっしゃると思います。ですが、もう大丈夫です。今すぐ幅広く十分な栄養をとらせてあげましょう。

 その結果、何が起きるのか?観察してみましょう。

 きっと、驚かれるはずです。

 
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