飲み続けると縮小する可能性も?アルコール依存症における脳への影響

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性格が悪い。
家族とのコミュニケーションも怒鳴り散らすので成り立たない。
お酒がなかったり気に入らないことがあると暴れる。

コミュニケーションはキャッチボールに例えられます。ボールを受けとったら相手がとりやすいようにボールを投げ返す。これが健全なコミュニケーションですが、アルコール依存症の方はそれができません。

ボールが投げられてもそれをわざと受けとらなかったり、受けとっても遠くに投げ返したりする。また、サッカーボールを強く蹴り返すこともしばしばです。このように、アルコール依存症になると精神にさまざまな影響が現れることは広く知られています。

その一方で、アルコール依存症が脳に与える影響はあまり知られていないようです。認知症やうつ病など、アルコール依存症が脳に与えるリスク要因であることを説明していきますのでお役立てください。

1.アルコールで脳はマヒする

「飲んだら途中から記憶がなくて、何かしでかしたのか心配!」
「どうやって帰ってきたのか?まったく記憶がない。」

私に限らず、お酒を飲み過ぎてこんな経験をした人は少なくないでしょう。このように、アルコールにより脳がマヒすると問題がおきますが、その中でも顕著に現れる特徴を三つご紹介しますので、それぞれご説明しましょう。

1.理性が働かなくなる

2.平衡感覚や運動機能が低下する

3. 記憶ができなくなる

1-1.アルコールが脳に与える影響その1. 理性が働かなくなる

「あいつ(例えば上司)はいつも偉そうで気に入らない!」
「まだできないのか?って聞くなら自分でやれっていいたくなるよ…」
「大きな声では言えないが、あいつは…」

アルコールでマヒする部位のひとつが前頭葉、思考や自発性(やる気)、理性などの働きを司っています。ここがマヒすると理性的な働きが失われますから、ガマンがきかなくなります。

そのため、「口がすべる」と言いますが、ついつい秘密にしていた上司や部下への不満などから、不平不満や悪口、暴言がとどめなく発せられることになります。

1-2. アルコールが脳に与える影響その2.  平衡感覚や運動機能が低下する

「てめ~ぶつかってきただろ!」
「なんだその目は…」

酔っぱらいは理性のタガがはずれています。ですから、夜の繁華街などは最悪です。酔っぱらい同士、少し肩が触れただけでケンカになったりしますから一緒にいる人はとても疲れます。

そんな酔っぱらいたちは、あっちにヨロヨロこっちにヨロヨロ、人や物にぶつかったりつまづいたりしますが、これは小脳がマヒしたからです。

小脳は平衡感覚や運動機能などを統合していますから、その機能が低下すればするほど動作はどんどん鈍くなります。そのため、歩行が危なっかしくなったりします。また、お酌をしてくれるのはいいのですが、コップからダバダバこぼれても制御できなかったりするのも同じ理由です。

1-3.アルコールが脳に与える影響その3.  記憶ができなくなる

「昨日の飲み会、途中から記憶がない。何かやらかしてはいないだろうか…?」
「どうやって帰ってきたのか記憶がないぞ…」

私も含め、そんな経験をしたという覚えのある方は少なくないでしょう。そしてこれは、アルコールにより海馬がマヒしたことが原因です。海馬は短期記憶を残す働きをしますから、ここがマヒすると「何をしたのか?」記憶がセーブできなくなります。だからこそ、酔っぱらいは同じ話を何度も繰り返したりします。

では、なぜ記憶もないのに帰宅することができるのか?というと、それは長期記憶が大脳皮質に保存されているからです。電車やバス、車、徒歩など、自宅までのさまざまなアクセス方法やルートは長期記憶として深く大脳皮質に保存されています。

酔っぱらっていても、この情報が利用できるから帰宅できるわけですが、海馬がマヒして短期記憶がありませんから「どうやって帰ったのか記憶がない」ということになります。ただし、出張先のホテルなどに宿泊時は長期記憶がありませんから、こんなときは「道に転がって寝ていた」ということになりかねませんので注意をしてください。

2.アルコール依存症が脳に与える影響

・前頭葉がマヒすると、理性が働かなくなる
・小脳がマヒすると、平衡感覚や運動機能が低下する
・海馬がマヒすると、記憶ができなくなる

こういった問題が断続的に続くのがアルコール依存症ですから、暴言や物にあたるなど支離滅裂なコミュニケーションに終始するのは当然のことでしょう。何しろ、ほとんど何を言ったのか?したのか記憶がないのですから。

しかし、一時的な酔っぱらい状態とは違い、アルコール依存症では脳の萎縮や、うつ病や認知症のリスクが高まることが知られています。その理由は次のように考えられます。

2-1.脳への影響その1.脳の萎縮はアミノ酸などの栄養不足

脳には千数百億もの神経細胞があり、自発的に活動を続け神経細胞のネットワークを構築し続けています。しかし、これら神経細胞の活動は、グリア細胞の助けなしには成り立ちません。グリア細胞が神経細胞に酸素やブドウ糖、栄養を与えることではじめて、神経細胞の活動は保証されることになります。

このグリア細胞は、神経細胞のおおよそ10倍もの数で存在しています。このことから、脳の働きにとって栄養がいかに重要なものであるのか想像できると思います。そして脳が委縮するのは、栄養不足により神経細胞やそのネットワークが死滅することが原因です。

2-2.脳への影響その2. 栄養不足は脳の出力を低下させる

体には60兆個もの細胞がありますが、このひとつひとつの細胞内でエネルギーを作り出しています。臓器などの組織は、これら細胞のエネルギーで協調作業をすることで活動できます。このとき、栄養がとても重要な働きをします。

体には常に血液が流れていますが、この血液には酸素やブドウ糖、アミノ酸やビタミンなどさまざまな栄養素が溶け込んでいます。これらがパチンコで玉がチューリップに飛び込むのと同じように、ランダムに細胞にたどり着いてとり込まれます。

細胞は、この酸素とブドウ糖、ビタミンB群とくにビタミンB1があってはじめてエネルギーを作り出すことができます。これは脳も例外ではありませんから、もし栄養が不足すれば灯油がきれた石油ストーブのように十分な働きができなくなります。

2-3.脳への影響その3. 危険なときは動物の脳が優先される

脳は、その働きから大きくふたつに分けられます。

・大脳新皮質(人の脳):知性・理性の働き
・大脳辺縁系(動物の脳):命と直結する働き

こういった働きがありますから、危険なときに活躍するのが動物の脳。例えば、「ヘビだ!」というとき、一瞬ですが私たちは我を忘れます。また、大きな音がしたときもそれは同じです。このことから、動物の脳が強く働いたとき人の脳の働きは奪われることがわかります。

栄養不足も同じです。栄養不足は動物にとって最大の危機。したがって、このとき動物の脳が強く働くことになります。また、その指令が交感神経を介して体に送られ、副腎からアドレナリン(不安・恐怖)とノルアドレナリン(怒り・イライラ)が分泌されます。

これらのホルモンが情緒を不安定にしますから、断酒をして「強い不安」を覚える根本的な原因は栄養不足にあると考えられます。

3.アルコール依存症でうつや認知症になるのは?

交感神経の緊張が強ければ強いほど、副腎から分泌されるアドレナリンの量が増えます。したがって、不安や恐怖の感情が強くなります。また、前述したように、交感神経は動物の脳にありますから、ここが強く緊張すると人の脳の働きが悪くなります。

高所恐怖症の人がスカイツリーに上ると我を見失うように、アドレナリンが強く分泌されれば恐怖に我を忘れてうつになります。また、人前に出ると緊張したとき話がシドロモドロになるように、動物の脳が強く働き人の脳の働きが悪くなれば認知機能が低下するのは自然なことでしょう。

4.家庭でできるアルコール依存症対策

「断酒のために病院に行こう!」
そう言っても、聞き入れてくれる患者さんはごく一部ですから、途方に暮れているご家族の方がほとんどでしょう。ですが、そんなご家庭でも、まずは患者さんに十分な栄養をとらせてください。そして、その後の様子を観察してみましょう。

摂らなければいけない栄養は、あれとこれといった部分ではありません。アミノ酸やビタミン、ミネラルなど、幅広く十分な栄養をとることです。ただし、患者さんの胃腸の働きは悪くなっていますし、そもそも食事をしっかりとることなどありませんから、食事レベルではなくサプリメントを利用することをお勧めします。

なお、サプリメントは自己判断ではなく、アルコール依存症と分子栄養学に詳しい医師や薬剤師のアドバイスの下で利用しましょう。また、サプリメントを飲んでとわたしても、それを拒否する患者さんがほとんどですから、食事などに混ぜて利用できるものがよりベターです。

まとめ

アルコール依存による人格・理性の崩壊に目を奪われ、患者さんが極度の栄養失調であることが見えなくなっている。この事実を見過ごしているからこそ、私はアルコール依存症の問題解決ができないのだと考えています。

逆に、「栄養失調が人の人格は思考を蝕むことになる」という事実を前提に、ぜひ、今すぐ行動してあげましょう。栄養をとらせることにメリットこそあれ、デメリットはありません。そして栄養をとらせたら言動や酒量にどのような変化が起きるのか?観察してください。

きっと、驚かれると思います。

 
本サイトは私の実務経験に基づいた考察をご紹介しています。また、解説する病気の症状は典型的なものを紹介しています。記載された症状がその病気をもつすべての方に当てはまるわけではありません。治療法その他についても、あくまでも自分でできうる対処と医療における代表的なもののみを掲載しており、治療法すべてを網羅するものではありません。病気の診断および治療に関しては、必ず医師による説明を受けるようにしてください。 

 

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